日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

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[O-06] ジオパークとサステナビリティ(口頭招待講演)

2024年5月26日(日) 13:45 〜 15:15 国際会議室 (IC) (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、郡山 鈴夏(フォッサマグナミュージアム)、座長:郡山 鈴夏(フォッサマグナミュージアム)、佐野 恭平(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、福村 成哉(南紀熊野ジオパーク推進協議会)、北川 桐香(下北ジオパーク推進協議会)、冨永 紘平(一般社団法人土佐清水ジオパーク推進協議会)

13:45 〜 14:15

[O06-01] 気候変動のシステムとメカニズムについて

★招待講演

*高薮 出

キーワード:気候変動、温室効果ガス、ブナ林、渡り鳥

気候変動は温室効果ガスの影響で説明されます。温室効果ガスは太陽光に対しては透明ですが地球放射に対しては不透明です。そのためこれが増えますと、地球の熱エネルギーの収支は黒字になってしまいます。地球にたまってしまったこの熱量を大気・地面・海洋がどの地域でどのように分担して吸収してゆくのかを計算しているのが地球システムモデルをはじめとする数値モデルです。地球に熱がたまることにより温暖化が生じますが、温まった大気はより多くの水蒸気を含むことができるため、いわゆる豪雨や豪雪が増加します。
 世界平均気温は、私たちが二酸化炭素を中心とする温室効果ガスをこれ以上排出しなくなって初めて上昇を止めます。ただし、いったん排出された二酸化炭素はいつまでも大気中にとどまり続けますので世界平均気温は上昇を止めますがもとには戻りません。産業革命後+1.5℃の温度上昇までに許されている二酸化炭素の排出量は、すでに排出されている量に比べてごくわずかでしかありません。温室効果ガスの排出削減を急速にそして継続的におこ合えれば、今後20年のうちにその効果が見えてくるでしょう。このタイムラグは、海洋の温度の変化に時間がかかってしまうからです。また、自然変動のぶれの中からトレンドのシグナルが現れるのに時間がかるからです。これらのことは、温暖化を止めるには直ちに行動を起こすことが重要であることを示しています。
 地球に暮らしている様々な生き物に対するハザードはこれら数値モデル等の結果を使って見ることができます。本発表でも、日本固有種であるブナ林の生育適地変遷、渡り鳥のルートの適期変動などそのいくつかをお見せすることができます。しかし、これらが社会にどのようなリスクをもたらすのかを間上げる際にはもう1段、いわゆるknowledge brokerという人たちが必要になります。そのあたり、Geoparkの皆さんに対する期待は大きいです。