日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

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[O-06] ジオパークとサステナビリティ(口頭招待講演)

2024年5月26日(日) 15:30 〜 17:00 国際会議室 (IC) (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、郡山 鈴夏(フォッサマグナミュージアム)、座長:冨永 紘平(一般社団法人土佐清水ジオパーク推進協議会)、北川 桐香(下北ジオパーク推進協議会)、福村 成哉(南紀熊野ジオパーク推進協議会)、佐野 恭平(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、郡山 鈴夏(フォッサマグナミュージアム)

15:30 〜 16:00

[O06-04] 気候変動による観光資源としての四国のブナ林の消失の可能性

★招待講演

*福井 智香子1,2 (1.三好ジオパーク構想推進協議会、2.三好市役所)

キーワード:ジオパークの生物学、ブナ、気候変動、観光資源

人の、地質遺産も含めた自然に対する興味・関心は高く、レクリエーションを目的に、開発された都市部から自然度の高い場所へ出かける行動が見られる。このように自然度の高い場所は観光資源として成立している。ジオパークでは、地質遺産の他に、地質遺産の影響をよく反映したもの、大地とヒトの暮らしをつなぐものとして、地質遺産を除いた自然遺産、つまり生態資源が扱われている。各ジオパークでも自然度の高い場所でのツアーや登山などのアクティビティが行われており、三好ジオパーク構想エリア内でもある徳島県西南部でも急峻な四国山地が存在し、県の内外から山を求めて訪れる人が多い。
 植林された森林とは異なる雰囲気を持つ、自然度の高い森林は訪れる場所として人気であるが、それを構成する人気のある樹種としてブナ(Fagus crenata)が挙げられる。ブナは大きく美しい姿から「森の女王」と呼ばれることがある。現在、日本のブナは冷涼な場所で生育しており、三好ジオパーク構想エリアでも四国山地の標高1000mを超える限られた場所に生育している。ブナは生育に気温の条件が大きく影響することが推測され、また成木に成長するまでに長い年月がかかる。ゆえに、昨今の急激な地球温暖化の影響で、将来にブナの生育適地が減少または消失する可能性が考えられる。このことは、近い将来、地域に限られた場所でしか見られない観光資源の消失を意味している。