日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

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[O-06] ジオパークとサステナビリティ(口頭招待講演)

2024年5月26日(日) 15:30 〜 17:00 国際会議室 (IC) (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、郡山 鈴夏(フォッサマグナミュージアム)、座長:冨永 紘平(一般社団法人土佐清水ジオパーク推進協議会)、北川 桐香(下北ジオパーク推進協議会)、福村 成哉(南紀熊野ジオパーク推進協議会)、佐野 恭平(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、郡山 鈴夏(フォッサマグナミュージアム)

16:00 〜 16:30

[O06-05] 山陰海岸ジオパークにおける気候変動を取り入れたガイドツーリズム

★招待講演

*金山 恭子1藤原 勇樹2安藤 和也1松原 典孝3 (1.鳥取県生活環境部山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館、2.山陰海岸ジオパーク推進協議会事務局、3.兵庫県立大学大学院地域マネジメント研究科)

キーワード:ジオパーク、山陰海岸、鳥取砂丘、気候変動、ガイド

山陰海岸ジオパークでは、その主要な見どころである鳥取砂丘において、訪問者の気候変動への問題意識醸成のための取り組みを実施している。きっかけは、2018(平成30)年世界ジオパークネットワーク再審査において「鳥取砂丘について、過去の気候変動による植物の変化など、もっと学術的な発信ができると観光客の興味が深まり、観光面が増えて現地の経済にプラスになると考える。」との審査員の発言であった。これを受けて、以下の2つの取り組みを開始した。

(1)乾燥地研究センター展示施設をジオパークガイドが案内する仕組みの整備
鳥取大学乾燥地研究センターは、長年、世界の乾燥地・気候変動に取り組む研究機関であり、その前身は、1923年頃まで遡る砂丘地の農業利用に関する研究施設である。センター敷地内には、センターの研究内容や、世界の乾燥地の植物、農業、生活様式、気候変動等に関する一般向けの展示施設も設けられているが、一般公開日が土日祝日に限られていることや解説要員の不足等のために、教育・ツーリズムへの活用が限定的であった。そこで2018(平成30)年度から、当センターの研修を受けた山陰海岸ジオパークガイドが平日も当展示施設を案内できる仕組みづくりを行った。その結果、県内外の学校や一般の観光客の利用者が飛躍的に増加した。

(2)第四紀の気候変動と鳥取砂丘の環境変化の関係についてのパネル展示作成
鳥取砂丘の成長には、第四紀の氷期・間氷期サイクルにともなう海水準変動が密接に関わっていると考えられている。また、海水準変動により砂丘の位置が内陸・海岸となったことで植生や人々の暮らしも変化したことが、遺跡等から明らかになっている。しかし、鳥取砂丘ビジターセンターや乾燥地研究センターには、第四紀気候変動と鳥取砂丘の関係が説明された展示はなかった。そこで、専門家の監修のもとパネル展示を作成し、両展示施設に設置することで、訪問者が過去の地球規模の環境変動についての理解を深め、将来の地球環境について考えてもらうきっかけとした。また、ガイドがこのパネルを活用して鳥取砂丘と気候変動の関係について解説できるように、乾燥地研究センターのガイド研修内容に取り入れた。