13:45 〜 15:15
[O08-P03] 波の勢いを最も抑える堤防の形状の検討
キーワード:堤防、波、防災
[背景・目的]
波は、風が強いほど、長く吹き続けるほど、吹く距離が長いほど高くなる。台風はこれらの条件を満たしており、台風の中心付近では、時に 10mを超える高波になることがある。過去には、高波による建物の倒壊や浸水、農地の塩害などの被害があった。
世界でも、日本は台風到達数が比較的多く、海岸堤防を設置するなどの対策がされている。しかし、高すぎる堤防は景観を悪くするなどの問題がある。そのため、高さ以外で波を抑える堤防の工夫が必要であると考え、研究を始めた。
堤防の模型を用いて実験を行い、どの形の堤防がより高波の勢いを抑えるのかを調べる。また、 実験の結果を踏まえて、波の勢いを抑える形には、どのような規則性や共通点があるのか考察する ことを目的とする。
[方法]
スタイロフォームを用いて、堤防の模型を図の8種類製作した(図1)。なお、「逆台形+逆台形」は、a から g の7種類の結果をもとに制作した。幅119 cm、奥行32 cm、高さ35 cmの透明の水槽に模型を設置し、水を高さ 25mmまで入れた。模型の横に水槽の奥行きとほぼ同じ大きさの板を差し込み、左端15 cmの位置まで動かして、水をせき止めた。せき止めた水の高さは約 130mmである。最後に、板を上に上げ、せき止めた水を解放することで波を発生させた(図2)。実験は、各模型30回ずつ行った。実験の様子を動画で撮影し、それを用いて、模型に当たった波の最高到達の高さと、模型右側のスペースの水の上昇度合い、波が一番高くなったときの波の広がり方を計測した。
[結果](図3~5)
(a 台形~g 長方形について)
「逆台形+台形」が、波が一番低くなり、「長方形」、「逆台形+長方形」、「台形+長方形」は7種類の中でも特に波が高く上がった。
「逆台形+長方形」は水の上昇度合が一番小さかった。また、「台形」は、他の形状に比べて多く上昇した。
「逆台形」は、水が右に広がりにくかった。また、「逆台形+長方形」、「逆台形」は、左に広がりやすく、「台形」、「台形+長方形」は、右に広がりやすいという結果になった。
(h 逆台形+逆台形について)
「逆台形+逆台形」よりも波に当たる面の面積が小さい「台形」、「逆台形」、「逆台形+台形」、「六角形」より波が高かった。
上部が逆台形でない「台形」、「六角形」、「台形+長方形」、「長方形」と比べて、水の上昇度合が小さかった。
上部が逆台形ではない「台形」、「六角形」、「台形+長方形」、「長方形」と比べて、波は右に広がりにくかった。
[考察]
「逆台形+台形」は、波が低く、水の上昇も小さいことから、7種類の形状の中で波の勢いを最も抑えていると考えられる。一方、「台形」は、波の高さは低いが、水の上昇が大きいことから、水の侵入を防げていない、つまり、高波の被害を抑えることはできないと考えられる。
波に当たる面の面積が「逆台形+逆台形」より大きい形状が波の高さが低くなったことから、波の高さは、波に当たる面の面積が大きいほど低くなるのではなく、特定の面積を超えると高くなってしまうと考えた。
また、上部が逆台形の「逆台形」、「逆台形+台形」、「逆台形+長方形」、「逆台形+逆台形」が水の上昇度合が低く、波が右に広がりにくかったことから、上部が逆台形のものは、水の上昇度合いが小さくなり、波が右に広がりにくいと考えられる。
[結論]
今回の一連の模型実験で、「逆台形+台形」は波の高さが低く、水の上昇度合が小さかった。また、波が右に広がりにくかった。これらのことから、「逆台形+台形」が8種類の中で最も波の勢いを抑えられると分かった。これは、上部が逆台形で、波が当たる面積が程よいためだと考える。
また、上部の形状が、波の勢いを抑える形状と関係していると分かった。
波は、風が強いほど、長く吹き続けるほど、吹く距離が長いほど高くなる。台風はこれらの条件を満たしており、台風の中心付近では、時に 10mを超える高波になることがある。過去には、高波による建物の倒壊や浸水、農地の塩害などの被害があった。
世界でも、日本は台風到達数が比較的多く、海岸堤防を設置するなどの対策がされている。しかし、高すぎる堤防は景観を悪くするなどの問題がある。そのため、高さ以外で波を抑える堤防の工夫が必要であると考え、研究を始めた。
堤防の模型を用いて実験を行い、どの形の堤防がより高波の勢いを抑えるのかを調べる。また、 実験の結果を踏まえて、波の勢いを抑える形には、どのような規則性や共通点があるのか考察する ことを目的とする。
[方法]
スタイロフォームを用いて、堤防の模型を図の8種類製作した(図1)。なお、「逆台形+逆台形」は、a から g の7種類の結果をもとに制作した。幅119 cm、奥行32 cm、高さ35 cmの透明の水槽に模型を設置し、水を高さ 25mmまで入れた。模型の横に水槽の奥行きとほぼ同じ大きさの板を差し込み、左端15 cmの位置まで動かして、水をせき止めた。せき止めた水の高さは約 130mmである。最後に、板を上に上げ、せき止めた水を解放することで波を発生させた(図2)。実験は、各模型30回ずつ行った。実験の様子を動画で撮影し、それを用いて、模型に当たった波の最高到達の高さと、模型右側のスペースの水の上昇度合い、波が一番高くなったときの波の広がり方を計測した。
[結果](図3~5)
(a 台形~g 長方形について)
「逆台形+台形」が、波が一番低くなり、「長方形」、「逆台形+長方形」、「台形+長方形」は7種類の中でも特に波が高く上がった。
「逆台形+長方形」は水の上昇度合が一番小さかった。また、「台形」は、他の形状に比べて多く上昇した。
「逆台形」は、水が右に広がりにくかった。また、「逆台形+長方形」、「逆台形」は、左に広がりやすく、「台形」、「台形+長方形」は、右に広がりやすいという結果になった。
(h 逆台形+逆台形について)
「逆台形+逆台形」よりも波に当たる面の面積が小さい「台形」、「逆台形」、「逆台形+台形」、「六角形」より波が高かった。
上部が逆台形でない「台形」、「六角形」、「台形+長方形」、「長方形」と比べて、水の上昇度合が小さかった。
上部が逆台形ではない「台形」、「六角形」、「台形+長方形」、「長方形」と比べて、波は右に広がりにくかった。
[考察]
「逆台形+台形」は、波が低く、水の上昇も小さいことから、7種類の形状の中で波の勢いを最も抑えていると考えられる。一方、「台形」は、波の高さは低いが、水の上昇が大きいことから、水の侵入を防げていない、つまり、高波の被害を抑えることはできないと考えられる。
波に当たる面の面積が「逆台形+逆台形」より大きい形状が波の高さが低くなったことから、波の高さは、波に当たる面の面積が大きいほど低くなるのではなく、特定の面積を超えると高くなってしまうと考えた。
また、上部が逆台形の「逆台形」、「逆台形+台形」、「逆台形+長方形」、「逆台形+逆台形」が水の上昇度合が低く、波が右に広がりにくかったことから、上部が逆台形のものは、水の上昇度合いが小さくなり、波が右に広がりにくいと考えられる。
[結論]
今回の一連の模型実験で、「逆台形+台形」は波の高さが低く、水の上昇度合が小さかった。また、波が右に広がりにくかった。これらのことから、「逆台形+台形」が8種類の中で最も波の勢いを抑えられると分かった。これは、上部が逆台形で、波が当たる面積が程よいためだと考える。
また、上部の形状が、波の勢いを抑える形状と関係していると分かった。