日本地球惑星科学連合2024年大会

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[J] ポスター発表

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[O-08] 高校生ポスター発表

2024年5月26日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球惑星科学系 岩石鉱物学研究室)、久利 美和(文部科学省)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)

13:45 〜 15:15

[O08-P43] 火星のレゴリスを用いた高機能ソイル開発実験"Artemis program"

*高橋 翔星1、*及川 愛梨1、*小柳 直緖1 (1.市立札幌開成中等教育学校)

キーワード:火星、土壌

抄録
 昨今の宇宙産業の発展に伴い、⾷糧の⾃給⾃⾜が宇宙空間で求められるようになるだろう。そ
こで我々は、⽕星の「⼟砂」を植物が育つ栄養のある「⼟壌」にすることを⽬標とした。「⼟砂」
を効率的に「⼟壌」とするために今回注⽬したのが⾼機能ソイルである。これは微⽣物、有機物
を適切に⽤いる事で⼟砂を⼟壌とすることのできる技術のことである。しかし、⽕星のレゴリス
を⼊⼿する事は⾮常に困難である。そこで⽕星のレゴリスと化学組成の近い⽞武岩は地球上で容
易に⼊⼿可能な物質であるため、今回は⽞武岩を主要に模擬レゴリスを作成した。再現するにあ
たって、⽞武岩を直径3mm程度まで粉砕し、植物の栽培を想定する範囲まで加⼯を⾏った。微⽣
物が活動を⾏う環境を「マメ科アルファルファ」を模擬レゴリスで栽培、後に緑肥(有機物)として
すき込みを⾏なった。環境が整っている段階で微⽣物を添加し、寒天培養による「コロニー数調
査」を経て、我々は今回、⽕星の⼟砂を模した⼟を⽤いてこの⾼機能ソイルを作ることに成功し
た。
α, 研究の背景と目的
 宇宙産業の規模が拡⼤する今、⼈類はアルテミス計画を始め、宇宙空間を利⽤した宇宙産業を
発展させることが想定される。⼈類が宇宙で活動するために⾷料が必要不可⽋であり、効率的な
⾷料の獲得⽅法は現地調達である。そのため、今回は⽕星での持続可能な植物栽培に対して需要
があると調査の上で判断し、今後の宇宙産業へ貢献をするという⽬的をもち研究を⾏った。
β,方法
①⽞武岩で作成した⼟壌で、アルファルファをすき込むものと、アルファルファをすき込んでい
ないものを⽤意し、微⽣物を添加する
②1週間後、それぞれの⼟を少し取り、シャーレの上で⽔に浸す
③シャーレから液体を取り出し、寒天培地に塗る
④それぞれ5つずつ作成し、1週間後に微⽣物のコロニーの繁殖状況を⾒る
γ,結果
 表の通り、アルファルファが混⼊しているプランターはアル
ファルファの⼊れていないプランターよりも微⽣物は増殖してい
る。反対にアルファルファの⼊っていないプランターは微⽣物は
減少し、微⽣物の活動に適さない環境であると読み取る。
(“アルファルファなし”は模擬レゴリスに微⽣物を添加したもの)
δ,考察・結論
投⼊したアルファルファは微⽣物にとって分解対象として働く事で栄養価のない⼟壌であっても
植物の栽培において栄養を⽣み出す事が出来ると考えた我々は実際に微⽣物とアルファルファ、
寒天培養を⽤いて微⽣物の活動を視覚化し、データを取る事に成功した。
本研究の結論として科学的データに基づき、寒天培養によるコロニー数測定より我々は⽕星の
⼟砂を⽤いた⾼機能ソイルを開発した事を証明する。

ε,参考文献
九州⼤学附属図書館kyushuuniversitylibrary.(n.d.).細菌培養の基礎.https://guides.lib.kyushu-u.ac.jp/c.php?g=774908&p=5559294 Towing.(n.d.).⾼機能ソイル.https://towing.co.jp/pages/solution Plosone.(n.d.).FarmingonMars:TreatmentofBasalticRegolithSoilandBrinyWaterSimulantsSustainsPlantGrowth.https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/ journal.pone.0272209 ⽮沢勇樹2007.地球砂漠と⽉・⽕星砂漠の相違点〜⽕星の表層物質と農業的利⽤の可能性〜 https://www.jstage.jst.go.jp/article/bss/21/4/21_4_129/_pdf