日本地球惑星科学連合2024年大会

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[O-08] 高校生ポスター発表

2024年5月26日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球惑星科学系 岩石鉱物学研究室)、久利 美和(文部科学省)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)

13:45 〜 15:15

[O08-P80] 有機廃棄物の利用による二酸化炭素放出の遅延の効果についての考察

*阿部 真拓1、*加藤 昊1 (1.宮城県利府高等学校)

キーワード:温室効果ガス、燃焼実験

【概要】 人間生活による廃棄物による温室効果ガス排出量はCO2換算で3,782万トンで(2018年,経済産業省)この中には一般家庭からの生ゴミや生活木材の燃焼処分に寄るところが大きいとみられている。
 また廃棄物は、環境省の最新の報道情報によると令和4年の日本の廃棄物の総排出量は4,095万トン、1人1日あたりの廃棄物の総排出量は890グラムという結果である。前年度に比べると廃棄物の総排出量は1,5%減少し、1人1日あたりの廃棄物の総排出量は1,1%減少と、廃棄物の総排出量は減少傾向にあることがわかる。
 そこで、非可食部を中心として、通常の農業(肥料や虫除け等を含む)に再利用が検討される傾向にある材料(出涸らしたコーヒー豆・梅干しの種ほか)を中心に、どれほどのCO2排出が起こり得て、またそれを畑などに撒くことでどれくらいCO2排出が緩やかになるのかを試算した。
【方法】
 主に以下の生活上での食品残渣、使い捨ての有機廃棄材について、十分乾燥させた上での燃焼による排出ガス量の測定(または個大量の質量変化の計測)を行った。
 使用物:①梅種子 ②出涸らしコーヒー ③竹刀 ④木片 ⑤割り箸 
 (1)燃焼実験1
  開放空間で、燃焼前後の質量の増減を記録し、排出気体量の追跡を行った。(図1)
 (2)燃焼実験2
  密閉チューブ内で燃焼を起こさせ、(1)の燃焼を前提として、排ガスの冷却によってH2O量比を計測した。(図2)
 (3)水溶実験
  (1)の燃焼実験後の灰を水溶させpHを計測した。 
【結果】
 (1)燃焼実験1
  ③竹刀④木片⑤割り箸 では、質量変化から100%完全燃焼が起き、①梅の種子②出涸らしコーヒーでは91%~98%の燃焼率であった。
 (2)燃焼実験2
  実験1の結果に基づいて、完全燃焼が起きる③竹刀⑤割り箸 で発生気体中の水蒸気量比を計測したところ、
  ③竹刀:1.6gの発生気体中0.8g(50%) ⑤割り箸:0.8gの発生気体中0.5g(62.5%) となり割り箸が一番水蒸気を放出した。 (※なお、現在実験を継続中で30回前後の結果を統計処理で示す予定である)
 (3)水溶実験
   ③竹刀:pH=9    ④木片:pH=10  ⑤割り箸:pH=9
   もし、有機廃棄物を燃焼させ二酸化炭素を放出させたとしても、灰を撒くことで酸性土壌の改善には役立つであろう。
【考察と適用】
 木材・竹材など有機廃棄物からの非水蒸気(多くが二酸化炭素と推定される)排出量は排気量の37.5%~50%ということが結果より判明した。これは環境省の試算よりも少ない量ではあるが、これは石油製品などの廃棄物や、廃棄物の燃焼時にかかる燃料による効果がさらに含まれてくるのであろう。
 割り箸の元の素材を使って床のフロアや家の建築木材に加工し、廃棄による燃焼時の二酸化炭素排出量を削減・緩和できると考える。また食品残渣であるコーヒーの出涸らしは分解によって二酸化炭素の放出は起こるものの、燃焼よりは緩やかで畑の肥料になり得るということがわかっている。また、リサイクル率が前年度の19.6%から0.3%と減少している[1]。現在よりも廃棄物の総排出量をさらに減らしていくことが必要であることからも、リサイクルを心がけるほか、安易に開放空間で燃焼処分をさせずに排出気体を貯留することや、燃焼灰を土壌改良に利用することが重要になってくるであろう。

[出典]
 1. 一般廃棄物の排出及び処理状況など(令和4年度)について. 環境省報道発表資料(2022)