13:45 〜 15:15
[O08-P96] 東北地方で発生した地震の種類判別基準の検討
キーワード:地震、プレート境界、東北地方
[本研究の目的]
日本列島周辺では様々な種類の地震が発生している。本研究では地震の種類判別に対して基準を定めることを目的とした。
[調査手法]
2011年3月1日から2012年3月1日に東北地方(北緯38〜40度)で発生した地震を調査対象とした。東北地方を対象とした理由は様々な種類の地震が観測されるとともに十分な情報量が確保されるからである。発生した地震のメカニズム解情報は防災科学技術研究所の広帯域地震観測網(F-net)より取得したものを使用するため主にマグニチュード3以上のものが解析対象となっている。本研究で解析対象とした地震は1987件であった。本研究においてプレート境界地震はプレート境界で発生しプレート境界面と平行に滑って発生する地震とした。調査は3種類行った。調査1では震源の深さとプレート境界との距離を比較することとし、震源の深さとプレート境界との距離で基準を設けた。本研究ではKita et al. (2010, EPSL)およびNakajima and Hasegawa (2006, GRL)で推定された東北地方の太平洋プレートの深さのデータを用い震源と同緯度同経度のプレート境界との深さの差を求めた。震源の深さからプレート境界の深さを引いた値をXとすると+10km≦Xのとき大陸プレート内地震、+5km ≦X<+10kmのとき大陸プレート内地震及びプレート境界地震の両者の可能性あり、-5km<X<+5kmのときプレート境界地震、-10km<X≦-5kmのときプレート境界及びスラブ内地震の可能性あり、-10km≦Xのときスラブ内地震とした基準を設け判別を行った。調査2ではそれぞれの地震のすべり角及び震源とプレート境界との距離に相関があるかどうか調べるために、すべり角及び震源とプレート境界の深さの差Xを用いて分布を調べた。調査3ではプレート境界地震とスラブ内地震の判別の精度を上げるために断層面とプレート境界それぞれの法線ベクトル及び震源とプレート境界の深さの差を用い判別基準を検討した。縦軸に断層面とプレート境界それぞれの法線ベクトルがなす角の余弦、横軸に震源とプレート境界との深さの差Xを取りプロットし関係を調べた。
[結果]
調査1では大陸プレート内地震が188件、プレート境界地震及び大陸プレート内地震の可能性があるものが188件、プレート境界地震は756件、プレート境界地震及びスラブ内地震の可能性があるものが315件、スラブ内地震540件であった。日本地図中にプロットした際それぞれ分布が偏り、その中でも本調査内でプレート境界地震とプレート境界地震及びスラブ内地震の可能性があるものは特に東経142度から142.5度に集中して発生していることが分かった。調査2では-25km<X≦0kmの範囲ですべり角が90度付近に集中し逆断層型の地震が見受けられるほかー25km≧Xの範囲ではすべり角が−90度付近に集中し正断層型の地震が見受けられた(図1)。これは海洋プレート内部にかかる応力の向きが変わったことに起因していると考えられる。また0km≦Xのとき分布が偏ることはなかったことからも0km≦Xにおけるプレート境界地震の可能性は低いと見て良いと言えるだろう。
調査3では-10km≦X≦0km付近で発生している地震とプレート境界の法線ベクトルのなす角の余弦が0〜0.20間と0.85〜1.00間に集中していることが分かった。(図2)また−10km≦X≦0kmで地震が発生していることからもプレート境界面またはプレート境界間の破砕物内でプレート境界地震と別の方向に滑る地震が発生していることがわかった。
[考察]
調査3より調査1で設けた深さのみでの判別基準は大別するうえでは十分有効だと思う。また調査3でプレート境界と震源それぞれの法線ベクトルのなす角が0〜30度のものを平行とみなし、その基準を満たした地震をプレート境界地震とみなす。その場合震源とプレート境界との距離が−10km≦X<0kmのときに調査3で余弦が0〜0.85の間で発生している地震はプレート境界と平行でない方向に滑っていることを意味している。よってプレート境界面またはプレート境界間の破砕物間で地震が発生している可能性が示唆された。それを加味すると調査3の方法を調査1に組み込むと精度が上がる事ができると考えられる。また一般的に海洋プレート上面では逆断層型の地震が発生していると考えられているため調査2のすべり角を用いる判別でスラブ内地震とプレート境界地震を区別することは難しいと考えた。
日本列島周辺では様々な種類の地震が発生している。本研究では地震の種類判別に対して基準を定めることを目的とした。
[調査手法]
2011年3月1日から2012年3月1日に東北地方(北緯38〜40度)で発生した地震を調査対象とした。東北地方を対象とした理由は様々な種類の地震が観測されるとともに十分な情報量が確保されるからである。発生した地震のメカニズム解情報は防災科学技術研究所の広帯域地震観測網(F-net)より取得したものを使用するため主にマグニチュード3以上のものが解析対象となっている。本研究で解析対象とした地震は1987件であった。本研究においてプレート境界地震はプレート境界で発生しプレート境界面と平行に滑って発生する地震とした。調査は3種類行った。調査1では震源の深さとプレート境界との距離を比較することとし、震源の深さとプレート境界との距離で基準を設けた。本研究ではKita et al. (2010, EPSL)およびNakajima and Hasegawa (2006, GRL)で推定された東北地方の太平洋プレートの深さのデータを用い震源と同緯度同経度のプレート境界との深さの差を求めた。震源の深さからプレート境界の深さを引いた値をXとすると+10km≦Xのとき大陸プレート内地震、+5km ≦X<+10kmのとき大陸プレート内地震及びプレート境界地震の両者の可能性あり、-5km<X<+5kmのときプレート境界地震、-10km<X≦-5kmのときプレート境界及びスラブ内地震の可能性あり、-10km≦Xのときスラブ内地震とした基準を設け判別を行った。調査2ではそれぞれの地震のすべり角及び震源とプレート境界との距離に相関があるかどうか調べるために、すべり角及び震源とプレート境界の深さの差Xを用いて分布を調べた。調査3ではプレート境界地震とスラブ内地震の判別の精度を上げるために断層面とプレート境界それぞれの法線ベクトル及び震源とプレート境界の深さの差を用い判別基準を検討した。縦軸に断層面とプレート境界それぞれの法線ベクトルがなす角の余弦、横軸に震源とプレート境界との深さの差Xを取りプロットし関係を調べた。
[結果]
調査1では大陸プレート内地震が188件、プレート境界地震及び大陸プレート内地震の可能性があるものが188件、プレート境界地震は756件、プレート境界地震及びスラブ内地震の可能性があるものが315件、スラブ内地震540件であった。日本地図中にプロットした際それぞれ分布が偏り、その中でも本調査内でプレート境界地震とプレート境界地震及びスラブ内地震の可能性があるものは特に東経142度から142.5度に集中して発生していることが分かった。調査2では-25km<X≦0kmの範囲ですべり角が90度付近に集中し逆断層型の地震が見受けられるほかー25km≧Xの範囲ではすべり角が−90度付近に集中し正断層型の地震が見受けられた(図1)。これは海洋プレート内部にかかる応力の向きが変わったことに起因していると考えられる。また0km≦Xのとき分布が偏ることはなかったことからも0km≦Xにおけるプレート境界地震の可能性は低いと見て良いと言えるだろう。
調査3では-10km≦X≦0km付近で発生している地震とプレート境界の法線ベクトルのなす角の余弦が0〜0.20間と0.85〜1.00間に集中していることが分かった。(図2)また−10km≦X≦0kmで地震が発生していることからもプレート境界面またはプレート境界間の破砕物内でプレート境界地震と別の方向に滑る地震が発生していることがわかった。
[考察]
調査3より調査1で設けた深さのみでの判別基準は大別するうえでは十分有効だと思う。また調査3でプレート境界と震源それぞれの法線ベクトルのなす角が0〜30度のものを平行とみなし、その基準を満たした地震をプレート境界地震とみなす。その場合震源とプレート境界との距離が−10km≦X<0kmのときに調査3で余弦が0〜0.85の間で発生している地震はプレート境界と平行でない方向に滑っていることを意味している。よってプレート境界面またはプレート境界間の破砕物間で地震が発生している可能性が示唆された。それを加味すると調査3の方法を調査1に組み込むと精度が上がる事ができると考えられる。また一般的に海洋プレート上面では逆断層型の地震が発生していると考えられているため調査2のすべり角を用いる判別でスラブ内地震とプレート境界地震を区別することは難しいと考えた。