日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-CG 宇宙惑星科学複合領域・一般

[P-CG20] 宇宙・惑星探査の将来計画および関連する機器開発の展望

2024年5月27日(月) 10:45 〜 12:00 103 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:桑原 正輝(立教大学)、横田 勝一郎(大阪大学・理学研究科)、坂谷 尚哉(JAXA 宇宙科学研究所)、三谷 烈史(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)、座長:坂谷 尚哉(JAXA 宇宙科学研究所)

11:00 〜 11:15

[PCG20-07] 次世代小天体サンプルリターンミッション:彗星における地震学

田中 智2、*川村 太一1小野寺 圭祐1,3西山 学4辻 健5坂谷 尚哉2嶌生 有理2黒川 宏之4、次世代小天体 サンプルリターンWG (1.パリシテ大学, パリ地球物理研究所, フランス国立科学研究センター、2.JAXA 宇宙科学研究所 、3.東京大学地震研究所 、4.東京大学、5.東京大学大学院 工学研究科 )

キーワード:惑星科学、彗星、地震学

彗星は太陽系形成時記憶を保持した天体であり、その理解は惑星形成や太陽系の進化を理解する上で重要な鍵となる。彗星の理解を深め、より太陽系の起源と進化を理解するために現在次世代サンプルリターンミッションとして彗星からのサンプルリターンが検討されている。ミッションは複数のその場観測も予定しており、特にその場観測による彗星の内部構造探査が検討されている。本研究では特に地震観測による内部構造探査の可能性について議論する。彗星のような微小重力天体における地震観測では地震計と地面のカップリングが重要となる。微小重力下では地震動で地震計が浮いてしまうリスクがあるためその点を考慮する必要がある。本研究ではまず地震計がカップリングを失う条件を検討し、浮かない場合、浮いてしまう場合の双方について実現可能な地震観測について検討した。地震計が浮かない場合に可能な手法として表面波解析を用いた浅部構造の探査と散乱波を用いた不均質構造の探査について紹介する。表面波の観測では彗星表面の層構造の違いがどのように地震波形の違いとして観測され、彗星の表面状態についてどのような示唆が得られるかを議論する。散乱波の解析としては内部の不均質構造の空間スケールの違いに地震波形への影響を評価し、彗星内部の不均質について制約を与える手法についての検討結果を報告する。一方、地震計が浮いてしまう場合についてはまず地震計が再び彗星表面に落下する時間を計算した上で、落下後に観測を実施することで内部構造探査が可能かを検討した。ここでは主に長周期の自由振動を観測することを目標とし、異なる内部構造を落下後の観測から見分けることが可能かどうかを議論する。最後に、これらの検討結果をもとに可能な観測システムと観測シナリオについて現在検討した内容を紹介する。