日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-CG 宇宙惑星科学複合領域・一般

[P-CG20] 宇宙・惑星探査の将来計画および関連する機器開発の展望

2024年5月27日(月) 13:45 〜 15:00 103 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:桑原 正輝(立教大学)、横田 勝一郎(大阪大学・理学研究科)、坂谷 尚哉(JAXA 宇宙科学研究所)、三谷 烈史(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)、座長:三谷 烈史(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)

13:45 〜 14:00

[PCG20-11] 超小型探査機による外惑星探査プログラム構想「OPENS」

★招待講演

*尾崎 直哉1、船瀬 龍1、矢野 創1兵頭 龍樹1、久保 勇貴1、臼杵 智章1、森下 貴都1、秋月 祐樹1、鳥居 航1、松下 将典2坂谷 尚哉1木村 駿太1、中島 晋太郎1、大野 剛1鈴木 志野1、曽根 理嗣1森 治1 (1.宇宙航空研究開発機構、2.東京大学)

キーワード:外惑星探査、超小型探査機、土星

JAXA宇宙科学研究所では、超小型探査機による外惑星探査計画OPENSプログラムを検討している。OPENSプログラムは「日本独自の探査機で外惑星探査領域において第一級のサイエンス成果があげられる世界を切り拓く」ことを目標として掲げたミッションである。外惑星探査ミッションにおける後発隊である日本が、外惑星探査分野において存在感を発揮するためには、諸外国とは異なる戦略での外惑星探査を繰り広げる必要がある。 H3ロケットを用いた外惑星探査ミッションは、質量リソースの観点では実現性が高い。一方で、惑星探査の中の1分野である『外惑星探査』に使えるH3ロケットを用いた中型クラスの枠は、低頻度にならざるを得ない。外惑星探査分野において現時点で遅れを取っている日本が、低頻度・低リソース(資金・質量リソース)で、存在感を発揮し続けるのは非常に困難である。

そこで、OPENSプログラムの初号機であるOPENS零号ミッションでは、イプシロンSロケットを用いて超小型探査機による外惑星探査ができる世界を切り拓くことで、イプシロンS・H3・相乗り打上げ等の幅広い打上げ機会を活用した高頻度な外惑星探査プログラムを展開することを目指す。イプシロンSロケットを用いた外惑星ミッションでは、最大輸送可能質量が100〜200kg程度に制限される。そのため、超小型衛星バスの活用が不可欠であり、外惑星探査という長期ミッションの特性を考慮すると、リスク許容度を一段緩和した挑戦的な探査機システムの開発が不可欠である。OPENS零号では、図に示すような「土星圏探査(理学ミッションとして土星リング観測)ミッション」の検討を進めており、JAXAはOPENS零号機の概念設計および開発計画の具体化を通じて計画の実現可能性を検討している。