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[PCG21-P06] 火星夜側電離圏の太陽風・IMF条件及び地殻磁場依存性に関する統計的研究

キーワード:火星、夜側電離圏、太陽風、惑星間空間磁場、地殻磁場
火星の夜側には、大気をイオン化する太陽放射が欠落しているにもかかわらず、希薄で変動に富む電離圏が存在する(e.g. Zang et al., 1990; Němec et al., 2010; Girazian et al., 2017)。この夜側電離圏は、主に電子衝突電離と昼側からのプラズマ輸送によって発生し(Fox et al., 1993)、前者は大気に繋がる開いた磁力線に沿う太陽風電子の降り込み、後者はプラズマ圧力勾配による拡散などによって引き起こされると考えられている。これらは太陽風・IMF条件、そして火星の南半球に局在する強い地殻磁場(Acuna et al., 1999)の影響を受けることが示されており、それらに対する夜側電離圏の諸量の依存性がDiéval et al. (2014)において統計的に調査された。しかしながら、調査の対象となったのは特定の観測条件を満たす6ヶ月と短期間なため、時間的・空間的な網羅性が不十分であると言える。加えて、参照された太陽風・IMF条件についてもMars Global Surveyor(MGS)によるプロキシで推定したものを用いており、不確定さが残る。 本研究では、2014年11月から2023年9月のより長期間に渡る、夜側電離圏をMars Express(MEX)のレーダーサウンダーで観測し、太陽風・IMF条件をMars Atmosphere and Volatile EvolutioN(MAVEN)がその場観測しているようなデータを用いて、火星夜側電離圏の太陽風・IMF条件や地殻磁場への依存性を統計的に再調査する。長期間のデータを用いることで時間的・空間的な網羅性を担保し、太陽風・IMF条件をその場によって決定することでより正確な検証を可能とする。さらに、近年、研究が盛んに行われている火星のディスクリートオーロラ(e.g. Bower et al., 2023)への関連についても調査する。