09:00 〜 09:15
[PCG22-01] ダスト集合体の理論的研究とダスト物性の不定性への示唆
★招待講演
キーワード:ダスト集合体、強度、衝突破壊速度、表面エネルギー、モノマー半径
惑星形成の初期段階では、サブミクロンサイズのダスト粒子が付着して集合体を形成すると考えられている。ダスト粒子の付着しやすさや壊れやすさなどの物性は、集合体としてのふるまいを決め、ダスト集合体のサイズ成長に影響を与える。しかし、ダスト粒子の物性には不定性が大きく、ダスト集合体の理論的研究においては、その物性をパラメータとしてダスト集合体の物質強度や衝突破壊速度を公式化している。このパラメータのうちの一つが、付着しやすさを表す表面エネルギーである。表面エネルギーには大きな不定性があるが、それを小さくするためには、原始惑星系円盤観測によるダスト表層の化学的性質の制約が不可欠である。また、他のパラメータには集合体を構成するモノマーとしてのダスト粒子のサイズがある。これは隕石や小惑星のリターンサンプル中の鉱物の情報から制約できると考えられる。さらに、モノマー自体が破壊される強度にも不定性が大きく、これも鉱物を用いて制約できる可能性がある。本講演では、ダスト集合体の物質強度や衝突破壊速度に関する理論的研究を紹介し、ダスト物性の不定性への示唆として化学や鉱物学とのつながりについて論じ、関連する研究も紹介する。
