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[PCG22-P05] 非晶質珪酸塩ダストアグリゲイトと水蒸気の酸素同位体交換速度に関する理論的見積もり
キーワード:酸素同位体、ダストアグリゲイト
隕石を構成する固体物質には数十‰に及ぶ酸素同位体組成の多様性が存在する。この多様性は、太陽系初期における16Oに富む始原的な非晶質珪酸塩ダスト粒子と16Oに乏しい円盤水蒸気ガスとの酸素同位体交換に由来すると考えられている。非晶質フォルステライト粒子と水蒸気ガスとの酸素同位体交換速度は山本ら (2018) で求められており、ダスト粒子のサイズが1ミクロン程度であれば約600 K以上の温度で原始太陽系星雲の寿命以内に酸素同位体交換が進行し、また、約800 K以下において結晶化よりも同位体交換が早く進行することが示されている。しかし、星雲中では固体粒子はアグリゲイトになっているため、太陽系初期の酸素同位体組成の進化の議論においてはアグリゲイトの酸素同位体交換速度を用いる必要がある。
本研究では、非晶質珪酸塩ダストアグリゲイトと水蒸気の酸素同位体交換速度について理論的見積もりを行なった。アグリゲイトと水蒸気との同位体交換反応は以下の4つのプロセスに分けることができる:(1) アグリゲイト表面への水蒸気の供給、(2) アグリゲイト内部での水蒸気の拡散、(3) 構成粒子表面での同位体交換、(4) 粒子内部での拡散。これら4つのプロセスの進行するタイムスケールをそれぞれ評価し、アグリゲイトのサイズや温度、水蒸気分圧によってどのプロセスが律速段階になるか評価した。解析的計算の結果、ダストアグリゲイトのサイズがmmサイズ以下であればアグリゲイトの同位体交換速度は構成粒子のそれと同じであるとみなすことができることが明らかになった。また、アグリゲイトがcmサイズ以上に成長すると、アグリゲイト表面への水蒸気の供給速度で同位体交換速度が律速されうることもわかった。
本研究では、非晶質珪酸塩ダストアグリゲイトと水蒸気の酸素同位体交換速度について理論的見積もりを行なった。アグリゲイトと水蒸気との同位体交換反応は以下の4つのプロセスに分けることができる:(1) アグリゲイト表面への水蒸気の供給、(2) アグリゲイト内部での水蒸気の拡散、(3) 構成粒子表面での同位体交換、(4) 粒子内部での拡散。これら4つのプロセスの進行するタイムスケールをそれぞれ評価し、アグリゲイトのサイズや温度、水蒸気分圧によってどのプロセスが律速段階になるか評価した。解析的計算の結果、ダストアグリゲイトのサイズがmmサイズ以下であればアグリゲイトの同位体交換速度は構成粒子のそれと同じであるとみなすことができることが明らかになった。また、アグリゲイトがcmサイズ以上に成長すると、アグリゲイト表面への水蒸気の供給速度で同位体交換速度が律速されうることもわかった。
