[P-EM10] Dynamics of Magnetosphere and Ionosphere

[PEM10-15] 地球近尾部のおけるプラズモイドと磁気再結合の夕側への偏在

*家田 章正¹、宮下 幸長^2,3 (1.名古屋大学 宇宙地球環境研究所、2.韓国天文研究院、3.韓国国立科学技術大学)

キーワード：サブストーム、磁気圏尾部、磁気再結合、水星

地球近傍磁気圏尾部における磁気再結合は、オーロラ爆発時のエネルギー開放を担っている。この近尾部磁気再結合は、過去には、真夜中付近で生じると想定されていた。これは、地球向き高速プラズマ流の観測と整合していた。Geotail衛星計画は、尾部方向に移動するプラズモイドの観察に基づき、磁気再結合の位置が夕側に偏在していることを発見した。この夕側偏在は、ホール電場が引き起こすことを、後のシミュレーションが示唆している。しかし、近年、水星の磁気再結合は、夕側ではなく朝側に偏在することが、観測により示唆されている。この地球と水星の違いの原因は不明である。

本研究では、地球近傍磁気圏尾部における高速プラズマ流の朝夕位置について、過去の統計結果を再解釈して総合することにより、磁気再結合の朝夕位置を明らかにする。その結果、尾部方向に移動する構造では夕側偏在が一般的であるが、地球方向に移動する構造では朝夕位置は研究ごとに異なっていた。これらの結果は、地球向き高速プラズマ流の統計結果はイベントの選択基準に影響されやすいことを示している。結論として、オーロラ爆発やサブストーム発生時の、地球向き高速流の朝夕位置は統計的には不明である。同様に、他の惑星の磁気圏尾部でも、惑星向きのプラズマ流の朝夕位置は、イベント選択基準に敏感である可能性がある。したがって、尾部方向に移動するプラズモイドと磁気再結合は、主として水星の夕側に位置している可能性がある。この仮説は、2025 年に水星周回を開始するBepiColombo Mio衛星による、尾部向きプラズモイドの観測を用いて検証することができる。