17:15 〜 18:45
[PEM10-P08] 緯度方向に広がる誘導磁力計ネットワークとSwarm衛星で同時に観測されたPc1地磁気脈動
Pc1地磁気脈動は、磁気圏においてプラズマの温度非等方性によって励起される電磁イオンサイクロトロン波動と考えられている。これまでの衛星による研究[Anderson et al., 1992; Usanova et al., 2012; Keika et al., 2013]によれば、Pc1地磁気脈動は主に13–18 MLT付近を中心とする昼間に、L>7の外部磁気圏でよく観測される。一方、内部磁気圏(L<4)ではほとんど検出されない。地上においては、高緯度・中緯度(L>4)におけるPc1地磁気脈動のMLT分布は、衛星観測と同様である[Saito et al., 1969; Plyasova-Bakounina et al., 1996]。しかし、低緯度(L<4)におけるPc1地磁気脈動は、03–06 MLTをピークに夜間に多く観測され、全く異なるMLT分布を示す[Saito et al., 1969; Kawamura et al., 1981]。また、低緯度Pc1の出現率は、L<4の内部磁気圏における出現率よりも大きいようである。このことは、低緯度におけるPc1地磁気脈動は、磁気圏から磁力線に沿って直接地上に侵入したものではなく、磁気圏から間接的に伝播してきた波動によるものであることを示唆しているが、その間接的な伝播経路はまだ不明である。
我々は、ロシア極東-アジア-オセアニア地域(ロシア、日本、フィリピン、オーストラリア)に誘導磁力計の緯度方向ネットワークを構築しており、2023年3月25日10–15UTには、地磁気緯度−21°から64°の広い緯度範囲でPc1地磁気脈動の観測に成功した。このイベントは、大きな磁気嵐(SYM-H指数最小値=−163nT)の回復相中に、真夜中前で観測された。Swarm衛星は同じMLT付近を飛行しており、地上の低緯度で検出されたPc1地磁気脈動に関連する地磁気変動を同時に観測していた。本講演では、このイベントのデータ解析結果を紹介するとともに、EMIC波の励起領域から地上低緯度までの伝搬経路について議論を行う。
我々は、ロシア極東-アジア-オセアニア地域(ロシア、日本、フィリピン、オーストラリア)に誘導磁力計の緯度方向ネットワークを構築しており、2023年3月25日10–15UTには、地磁気緯度−21°から64°の広い緯度範囲でPc1地磁気脈動の観測に成功した。このイベントは、大きな磁気嵐(SYM-H指数最小値=−163nT)の回復相中に、真夜中前で観測された。Swarm衛星は同じMLT付近を飛行しており、地上の低緯度で検出されたPc1地磁気脈動に関連する地磁気変動を同時に観測していた。本講演では、このイベントのデータ解析結果を紹介するとともに、EMIC波の励起領域から地上低緯度までの伝搬経路について議論を行う。