14:30 〜 14:45
[PEM11-19] 欧州次期火星探査計画M-MATISSE搭載火星オーロラカメラ
キーワード:火星、オーロラ、宇宙天気
2022年のESA Mクラス公募に応募されたミッション "Mars - Magnetosphere ATmosphere Ionosphere and Space-weather SciencE (M-MATISSE) "は、太陽風と誘導磁気圏-電離圏-熱圏(MIT)結合を通じた観測により、宇宙天気活動への火星プラズマ-大気システムのグローバルなダイナミクス応答を明らかにするものである。これは、火星の大気の進化や火星の居住性を理解する上で重要である。M-MATISSEは、火星における潜在的な惑星規模の宇宙天気ハザードの理解と予測を大きく前進させる。
M-MATISSEは、初めて火星システム広域に渡る連続同時と太陽風観測をその場計測と遠隔計測を駆使して実現するものである。M-MATISSEは2機のオービターで構成される。ヘンリ(Henri)と呼ばれる親機は、近火点が270km以下、遠火点が〜3,000km、傾斜角が60度で、殆どの時間を火星プラズマ圏内で観測を実施する。マルグリット(Marguerite)と呼ばれる子機もまた、傾斜角60度、270km以下の近火点、~10,000kmの遠火点を持ち、太陽風および火星圏遠尾で殆どの時間を過ごすように軌道設計がなされている。M-MATISSEの特に重要な点は、火星上部・下部電離層、および下層大気を、探査機間の電波掩蔽観測により同時にカバーすることを可能にする点であり、地球以外の惑星では初めての試みである。
オーロラ発光は、惑星大気への太陽高エネルギー降下粒子によって励起される発光現象である。その全球分布は、降下粒子を駆動する惑星磁場の役割を明らかにし、またそのエネルギープロファイルを推定することができる。MAVENとEMMミッションによる火星の紫外線(UV)オーロラの最新の発見は、約50〜100kmの空間スケールで10分未満の非常に激しい時空間変動を示唆している。M-MATISSE搭載火星オーロラカメラ(M-AC)は、M-MATISSEの科学目的を達成するために、2つの軌道衛星に搭載され、大気中への高エネルギー粒子の降下によって誘発されるグリーンオーロラ発光の測定と、大気中の塵の反射率の測定を行う必要があります。私たちの設計では、科学的な損失を無視できる程度に、紫外から可視(VIS)域の観測に変更することによって、リソースを1.5kgに削減する見込みがたちました。リムジオメトリにおける557.7nmのオーロラ発光輝度は、<1から~7キロレイリー(kR)の間で予想されており(Soret et al., )、UVでの観測実績とモデル予測から装置設計がなされてきました。
可視光学系の能力(従来の紫外分光器との比較)によると、非球面レンズを適用した小型光学系では、1秒間の積分時間で検出限界として10Rに対して1という優れたS/N比を達成することができ、従来の紫外分光器と比較して5倍から10倍以上向上できる見込みがあります。これにより、オーロライベントの検出数が従来よりも増加することを期待します。150度の広視野角は、近火点における地殻磁場構造の典型的な空間スケール(~200km)を十分にカバーすることができる。広い視野と探査機の軌道運動は、地殻磁場の変動を追跡するために、対象領域の空間的なカバー率と観測頻度の両方を増加させる。一方、M-ACは、夜側の微弱なオーロラ発光を検出すると同時に、昼側のダスト観測のための明るい火星地表面太陽反射光を検出するように設計されています。つまり、M-ACシステムには両方の目的を達成するための高いダイナミックレンジが要求される。概念検討の結果、現在の我々の設計は上記に示す要求を十分満たすことができることが確認できています。
M-MATISSEは現在、2023年11月に欧州宇宙機関(ESA)がESAのM7クラスミッションの候補として3年間のフェーズA研究に選定した3つのミッションコンセプトのうちの1つである。フェーズAの後、ESAは2037年の打ち上げに向けて1つのミッションを選定する。M-ACチームは、東北大学を中心とした日本だけでなく、欧米の国際的なメンバーで構成されている。本論文では、M-MATISSEミッションの概要と、M-AC機器設計の概念検討の結果を紹介する。
M-MATISSEは、初めて火星システム広域に渡る連続同時と太陽風観測をその場計測と遠隔計測を駆使して実現するものである。M-MATISSEは2機のオービターで構成される。ヘンリ(Henri)と呼ばれる親機は、近火点が270km以下、遠火点が〜3,000km、傾斜角が60度で、殆どの時間を火星プラズマ圏内で観測を実施する。マルグリット(Marguerite)と呼ばれる子機もまた、傾斜角60度、270km以下の近火点、~10,000kmの遠火点を持ち、太陽風および火星圏遠尾で殆どの時間を過ごすように軌道設計がなされている。M-MATISSEの特に重要な点は、火星上部・下部電離層、および下層大気を、探査機間の電波掩蔽観測により同時にカバーすることを可能にする点であり、地球以外の惑星では初めての試みである。
オーロラ発光は、惑星大気への太陽高エネルギー降下粒子によって励起される発光現象である。その全球分布は、降下粒子を駆動する惑星磁場の役割を明らかにし、またそのエネルギープロファイルを推定することができる。MAVENとEMMミッションによる火星の紫外線(UV)オーロラの最新の発見は、約50〜100kmの空間スケールで10分未満の非常に激しい時空間変動を示唆している。M-MATISSE搭載火星オーロラカメラ(M-AC)は、M-MATISSEの科学目的を達成するために、2つの軌道衛星に搭載され、大気中への高エネルギー粒子の降下によって誘発されるグリーンオーロラ発光の測定と、大気中の塵の反射率の測定を行う必要があります。私たちの設計では、科学的な損失を無視できる程度に、紫外から可視(VIS)域の観測に変更することによって、リソースを1.5kgに削減する見込みがたちました。リムジオメトリにおける557.7nmのオーロラ発光輝度は、<1から~7キロレイリー(kR)の間で予想されており(Soret et al., )、UVでの観測実績とモデル予測から装置設計がなされてきました。
可視光学系の能力(従来の紫外分光器との比較)によると、非球面レンズを適用した小型光学系では、1秒間の積分時間で検出限界として10Rに対して1という優れたS/N比を達成することができ、従来の紫外分光器と比較して5倍から10倍以上向上できる見込みがあります。これにより、オーロライベントの検出数が従来よりも増加することを期待します。150度の広視野角は、近火点における地殻磁場構造の典型的な空間スケール(~200km)を十分にカバーすることができる。広い視野と探査機の軌道運動は、地殻磁場の変動を追跡するために、対象領域の空間的なカバー率と観測頻度の両方を増加させる。一方、M-ACは、夜側の微弱なオーロラ発光を検出すると同時に、昼側のダスト観測のための明るい火星地表面太陽反射光を検出するように設計されています。つまり、M-ACシステムには両方の目的を達成するための高いダイナミックレンジが要求される。概念検討の結果、現在の我々の設計は上記に示す要求を十分満たすことができることが確認できています。
M-MATISSEは現在、2023年11月に欧州宇宙機関(ESA)がESAのM7クラスミッションの候補として3年間のフェーズA研究に選定した3つのミッションコンセプトのうちの1つである。フェーズAの後、ESAは2037年の打ち上げに向けて1つのミッションを選定する。M-ACチームは、東北大学を中心とした日本だけでなく、欧米の国際的なメンバーで構成されている。本論文では、M-MATISSEミッションの概要と、M-AC機器設計の概念検討の結果を紹介する。