日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM11] Space Weather and Space Climate

2024年5月27日(月) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:片岡 龍峰(国立極地研究所)、Aronne Mary(NASA Goddard Space Flight Center)、伴場 由美(国立研究開発法人 情報通信研究機構)、Pulkkinen Antti(NASA Goddard Space Flight Center)

17:15 〜 18:45

[PEM11-P11] 説明可能AIで探る太陽高エネルギー粒子事象を伴うフレアの発生条件

*加藤 裕太1草野 完也2、光田 千紘1、石原 康秀1 (1.富士通株式会社、2.名古屋大学)

キーワード:太陽高エネルギー粒子、太陽フレア、説明可能AI

富士通株式会社と東海国立大学機構は、より活発化する地球圏や月、火星、惑星間空間での人類活動の安全確保を見据えた宇宙天気分野における共同研究を実施している。太陽高エネルギー粒子(Solar Energetic Particle; SEP)イベントは、太陽フレアやコロナ質量放出といった太陽の突発現象に伴い発生し、人体への被ばくや宇宙システムへの障害といった影響を及ぼす、宇宙天気分野における重要な研究対象である。

我々は、SEPイベント を伴うフレアの条件を探るため、富士通研究所の開発する説明可能 AI である Wide Learningによる分類タスクを実施した。太陽活動第 24 周期における NOAA SWPC データベースの > 10 MeV, > 10 pfuを満たすSEPイベントに紐づいているフレアを正例、それ以外のGOESフレアカタログ記載のフレアについてを負例とした。特徴量に関しては、X 線や磁場に関する観測データおよび、κスキーム (Kusano et al. 2020 Sience) のフレア予測データから計 57 特徴量を作成した。

正例/負例サンプルのクラス不均衡のため、正例を固定し、正例:負例を1:3 となるよう、負例をアンダーサンプリングしながら、10回入れ替えた試行を行った。さらに、負例のフレアクラスに関しても、 (a). 無バイアスにランダム抽出する場合、(b). フレアクラス毎に一定にした場合について、学習と推論を実施した。我々のモデルはSEPを伴うフレアの判別能力に関する True Skill Statistic (TSS) において (a). の場合で約 0.7、(b). の場合で約 0.4 を示し、それぞれの場合について正例/負例サンプルを予測する各特徴量の数値範囲や組合せの条件を複数得た。(a).の場合はX線ピーク強度が、(b). の場合はフレアの継続時間およびフレア履歴が正例の顕在的な重み付けられた仮説として出現し、負例の顕在的な仮説には磁場の特徴量の組合せが重み付けられた仮説として出現した。

本講演では、これらの数値範囲や組み合わせの条件や、過去の類似事例の仮説へのあてはまりを用いた新たな宇宙天気予報の可能性について考察し、今後の展望についても議論する。