17:15 〜 18:45
[PEM13-P14] オメガバンドオーロラに伴う高エネルギー電子降下とリオメータ観測による銀河電波吸収の関係

キーワード:脈動オーロラ、オメガバンド、銀河電波吸収、スペクトルリオメータ
オーロラは、明瞭な形をしたディスクリートオーロラと、曖昧な形をしたディフューズオーロラに分類される。ディフューズオーロラの中でも準周期的に明滅を繰り返すものを「脈動オーロラ (Pulsating Aurora: PsA)」と呼ぶ。PsA の出現に伴い「オメガバンド」と呼ばれる波状のオーロラ構造が見られることがある。近年の研究によって、PsAの発生に伴って、PsAを光らせる電子だけでなく、放射線帯に起源を持つ高エネルギー電子が降下していることが明らかとなった。しかし、これまでの研究では、オメガバンド発生時の放射線帯電子降下のエネルギーや時空間分布が十分に明らかとなっているとは言えない。特に、規模の大きい磁気嵐中に発生するオメガバンドに伴う降下電子の時空間変動は、観測事例が少ないために未だに明らかになっていない。本研究では、2023年3月に発生した大規模な磁気嵐時に観測されたオメガバンドについて、スペクトルリオメータを用いた銀河電波吸収 (Cosmic Noise Absorption: CNA) の同時観測を行い、カメラ画像から分かる発光強度との相関を調査する。また、大気モデルと電子密度の実測値を用いて、CNA を定量的に算出することにより、降下電子エネルギーと CNA の関係を検討する。これにより、CNA を仲介としてオーロラの発光強度から降下電子のエネルギーを推定し、オメガバンド発生時にカメラが発光強度を検出できる観測領域の降下電子のエネルギー特性を二次元的に可視化することを目的とする。
本研究では、北欧の4地点(Tromsoe, Tjautjas, Sodankyla, and Kevo)に設置されている 100 Hz の時間分解能を有する EMCCD 高速撮像全天カメラと、同じく北欧の5地点 (Abisko, Kilpisjarvi, Sodankyla, Kevo, and Oulu) に設置されているスペクトルリオメータの観測を組み合わせることによって、磁気嵐時に発生したオメガバンドに伴う CNA の時空間変動を調べた。具体的には、2023 年 3 月 23-24 日にかけて発生したコロナ質量放出 (Coronal Mass Ejection: CME) 型の規模の大きい磁気嵐の主相から回復相にかけて発生したオメガバンドの事例について解析を行った。まず、北欧4地点のEMCCDカメラ群による光学観測データを結合することによって、真夜中から明け方のローカルタイムにかけて、オメガバンドを構成するトーチ構造が準周期的に発生し東向きにドリフトしていたことが分かった。EMCCD 全天カメラによって得られた全天画像から作成したケオグラムとスペクトルリオメータから得られた CNA強度の時間変化を比較した結果、トーチ構造がリオメータの観測領域を通過するタイミングで CNA が顕著に増大していたことが明らかになった。また、オメガバンドの空間構造と 5 地点で得られた CNA 観測データを直接的に比較することにより、オメガバンドや、オメガバンドに内包される PsA のどの領域で放射線帯電子の降下が顕著であったかについても解析を行った。その結果、観測領域の低緯度側は高緯度側に比べ CNA の増強が激しいと分かった。さらに、ディスクリートオーロラで構成されるオメガバンドの輪郭部分ではなく、発光強度が小さく細かな変動が顕著なトーチ構造の内側や外側において CNA が増大していたことが分かった。このことは、オーロラの形態がよりディフューズになるオメガバンド構造の内外の領域において、放射線帯電子の降下が多いことを示唆する。発表では、磁気嵐発生時のオーロラの緯度分布について、オメガバンドに焦点を当て、広域撮像により可視化し、イベント中に発生するCNAの増大現象に着目する。また、オーロラの発光強度とCNA 強度の相関解析による結果を示すと共に、欧州非干渉散乱レーダー (European Incoherent SCATer rader: EISCAT) の地上観測から分かる電子密度の高度分布を用いて導出した CNAと降下電子エネルギーの関係を示す。そして、降下電子のエネルギーと電離高度、CNAの空間分布の関連性について議論する予定である。
本研究では、北欧の4地点(Tromsoe, Tjautjas, Sodankyla, and Kevo)に設置されている 100 Hz の時間分解能を有する EMCCD 高速撮像全天カメラと、同じく北欧の5地点 (Abisko, Kilpisjarvi, Sodankyla, Kevo, and Oulu) に設置されているスペクトルリオメータの観測を組み合わせることによって、磁気嵐時に発生したオメガバンドに伴う CNA の時空間変動を調べた。具体的には、2023 年 3 月 23-24 日にかけて発生したコロナ質量放出 (Coronal Mass Ejection: CME) 型の規模の大きい磁気嵐の主相から回復相にかけて発生したオメガバンドの事例について解析を行った。まず、北欧4地点のEMCCDカメラ群による光学観測データを結合することによって、真夜中から明け方のローカルタイムにかけて、オメガバンドを構成するトーチ構造が準周期的に発生し東向きにドリフトしていたことが分かった。EMCCD 全天カメラによって得られた全天画像から作成したケオグラムとスペクトルリオメータから得られた CNA強度の時間変化を比較した結果、トーチ構造がリオメータの観測領域を通過するタイミングで CNA が顕著に増大していたことが明らかになった。また、オメガバンドの空間構造と 5 地点で得られた CNA 観測データを直接的に比較することにより、オメガバンドや、オメガバンドに内包される PsA のどの領域で放射線帯電子の降下が顕著であったかについても解析を行った。その結果、観測領域の低緯度側は高緯度側に比べ CNA の増強が激しいと分かった。さらに、ディスクリートオーロラで構成されるオメガバンドの輪郭部分ではなく、発光強度が小さく細かな変動が顕著なトーチ構造の内側や外側において CNA が増大していたことが分かった。このことは、オーロラの形態がよりディフューズになるオメガバンド構造の内外の領域において、放射線帯電子の降下が多いことを示唆する。発表では、磁気嵐発生時のオーロラの緯度分布について、オメガバンドに焦点を当て、広域撮像により可視化し、イベント中に発生するCNAの増大現象に着目する。また、オーロラの発光強度とCNA 強度の相関解析による結果を示すと共に、欧州非干渉散乱レーダー (European Incoherent SCATer rader: EISCAT) の地上観測から分かる電子密度の高度分布を用いて導出した CNAと降下電子エネルギーの関係を示す。そして、降下電子のエネルギーと電離高度、CNAの空間分布の関連性について議論する予定である。
