11:00 〜 11:15
[PEM15-02] 次世代太陽風観測による太陽圏と太陽地球系結合過程の研究
キーワード:太陽風、コロナ質量放出、太陽圏、宇宙天気予報、フェーズドアレイ、デジタル信号処理
太陽から噴き出す高速のプラズマ流である太陽風は地球電磁気圏と相互作用し擾乱の要因となる。この擾乱によって、通信障害や人工衛星障害など、社会インフラが甚大な被害を被る場合もある。太陽地球系結合過程を理解するためには、太陽風プラズマの流れと、それに対応する地球電磁気圏の応答過程を解明することが必要となる。
太陽風中の擾乱が電波を散乱することで惑星間空間シンチレーション(IPS)現象が発生する。地上の電波望遠鏡を用いたIPS観測はグローバルな太陽圏構造を理解する上で重要な手法となってきた。名古屋大学では327MHz帯域において、最大約4000平方メートルの物理開口面積を持つシリンドリカルパラボラアンテナからなる独自のIPS観測装置を開発し、国内3カ所に設置することで、地上電波観測から太陽風の観測に取り組んできた。得られた太陽風データはグローバルな太陽圏構造の理解に貢献することに加え、惑星間空間を伝搬中の太陽風擾乱現象を効率良く検出し、その地球への到来予測を可能とすることで、宇宙天気予報の高精度化にも貢献してきた。一方、太陽風の加速過程の理解や、太陽風予測の高精度化にはIPS観測の稠密化が必要であることがわかってきた。
本研究ではIPS観測の高精度化を通して太陽地球系結合過程の理解に貢献することを目的として、次世代太陽風観測装置プロジェクトを進めている。本計画では、327MHz帯域において多数のアンテナから構成される平面フェーズドアレイアンテナを建設し、そこにデジタルフェーズドアレイ装置を搭載することで、多数の方向を同時に観測できる次世代太陽風観測装置を開発する。これを用いた太陽風の多方向同時観測で、既存装置の10倍の太陽風観測を実現する。現在Phase-Iプロジェクトとして全体の数%の小型アレイの開発を行っている。アレイを構成するアンテナエレメントにはダイポールアンテナまたは八木アンテナを候補とし、試作を開発した。アンテナエレメントは16本をアナログ系で合成し、その合成信号をADCにてデジタル化する。デジタル信号は光ファイバーでFPGAで構成された信号処理装置に伝送され、8ビームが同時に合成される。
本計画はIPS観測を通して太陽風の加速過程の解明や、グローバルな太陽圏構造やその変動の理解、宇宙天気予報の高精度化を目指す。また、地球電磁気圏・大気圏の観測網と連携することで太陽地球系結合過程の統一的な理解に貢献する。また、フェーズドアレイ方式の大型地上電波観測装置という点では太陽地球系結合過程の研究基盤形成を構成する他の大型地上レーダーと共通しており、較正手法、信号処理方法、混信除去方法など類似の技術が必要となる場面では、技術面でも連携できる可能性がある。
太陽風中の擾乱が電波を散乱することで惑星間空間シンチレーション(IPS)現象が発生する。地上の電波望遠鏡を用いたIPS観測はグローバルな太陽圏構造を理解する上で重要な手法となってきた。名古屋大学では327MHz帯域において、最大約4000平方メートルの物理開口面積を持つシリンドリカルパラボラアンテナからなる独自のIPS観測装置を開発し、国内3カ所に設置することで、地上電波観測から太陽風の観測に取り組んできた。得られた太陽風データはグローバルな太陽圏構造の理解に貢献することに加え、惑星間空間を伝搬中の太陽風擾乱現象を効率良く検出し、その地球への到来予測を可能とすることで、宇宙天気予報の高精度化にも貢献してきた。一方、太陽風の加速過程の理解や、太陽風予測の高精度化にはIPS観測の稠密化が必要であることがわかってきた。
本研究ではIPS観測の高精度化を通して太陽地球系結合過程の理解に貢献することを目的として、次世代太陽風観測装置プロジェクトを進めている。本計画では、327MHz帯域において多数のアンテナから構成される平面フェーズドアレイアンテナを建設し、そこにデジタルフェーズドアレイ装置を搭載することで、多数の方向を同時に観測できる次世代太陽風観測装置を開発する。これを用いた太陽風の多方向同時観測で、既存装置の10倍の太陽風観測を実現する。現在Phase-Iプロジェクトとして全体の数%の小型アレイの開発を行っている。アレイを構成するアンテナエレメントにはダイポールアンテナまたは八木アンテナを候補とし、試作を開発した。アンテナエレメントは16本をアナログ系で合成し、その合成信号をADCにてデジタル化する。デジタル信号は光ファイバーでFPGAで構成された信号処理装置に伝送され、8ビームが同時に合成される。
本計画はIPS観測を通して太陽風の加速過程の解明や、グローバルな太陽圏構造やその変動の理解、宇宙天気予報の高精度化を目指す。また、地球電磁気圏・大気圏の観測網と連携することで太陽地球系結合過程の統一的な理解に貢献する。また、フェーズドアレイ方式の大型地上電波観測装置という点では太陽地球系結合過程の研究基盤形成を構成する他の大型地上レーダーと共通しており、較正手法、信号処理方法、混信除去方法など類似の技術が必要となる場面では、技術面でも連携できる可能性がある。