17:15 〜 18:45
[PEM16-P02] 次世代太陽⾵観測装置におけるアナログ信号合成系の開発

キーワード:太陽風、地上電波観測、フェーズドアレイアンテナ、アナログ信号合成
太陽風の源流や加速過程についての物理機構は解明されておらず,現在盛んに研究が行われている。我々は,はるか遠方の天体からの電波信号が太陽風によってまたたく現象である惑星間空間シンチレーション (IPS) 現象を対象とし,独自に保有する大型電波望遠鏡を用いて 327 MHz において太陽風の観測を行なっている。そして,さらなる太陽風の詳細な解析を目的とし,およそ10倍の観測天体数をより高精度に観測できる新たな太陽風観測装置の開発に取り組んでいる。次世代観測装置では,多数のアンテナ素子から構成される平面フェーズドアレイ方式のアンテナを敷設し,バックエンドにデジタルマルチビームフォーマを搭載することで,高精度かつ多数の電波源の同時観測を可能とする構想である。
本研究では,次世代観測装置のうち,アナログ系統における信号合成系の開発を目的とし、合成器の検討を行なった。この合成系は,1サブアレイを構成する16本のアンテナで受信したアナログ信号を合成する系統である。各アンテナからの信号の電力損失を最小限に抑えた合成系により,サブアレイ単位での高い利得性能を実現する。合成器の数値目標としては 327 MHz の周波数帯域で 0.5 dB 以下の電力損失に抑えることである。
開発に際して,16本のアンテナからの受信信号を一度に合成可能とする16ポートの合成器を試作した。評価実験として,屋外にてアンテナ16本からの受信信号を合成器へ入力し,合成後の電力損失について調査を行なった。具体的な機器構成としては,0.5 m 間隔で 8×2 個の素子を並べた受信アレイを構成し,送信アンテナを受信アレイから 25 m 離して配置した。このアンテナ配置は,アレイ中心のエレメントと最端のエレメントとが受信する信号の位相差を,327 MHz の電波波長 (およそ 0.917 m) の 1/20 以下に収めるようにした。
16ポートへの入力値の合計に対して出力値を比べると,13 dB の電力損失が確認された。これは,事前実験の結果を受けて,およそ 5 dB と見込んでいた電力損失に比べて非常に大きな値である。そこで合成器への入力である各アンテナの受信信号のパワースペクトルを確認すると,アレイの中心から両端のアンテナにかけて,対称なスペクトル形状の変化を確認することができなかった。これは,実験における周辺環境 (壁や車の人工物や,地面など) からの電波の反射・干渉が影響した可能性が考えられる。より正確に信号合成系の評価を行うには,アンテナの遠方界条件を満たすことができ,かつ人工物が少ない広い敷地で実験する必要があると考えられる。
本研究では,次世代観測装置のうち,アナログ系統における信号合成系の開発を目的とし、合成器の検討を行なった。この合成系は,1サブアレイを構成する16本のアンテナで受信したアナログ信号を合成する系統である。各アンテナからの信号の電力損失を最小限に抑えた合成系により,サブアレイ単位での高い利得性能を実現する。合成器の数値目標としては 327 MHz の周波数帯域で 0.5 dB 以下の電力損失に抑えることである。
開発に際して,16本のアンテナからの受信信号を一度に合成可能とする16ポートの合成器を試作した。評価実験として,屋外にてアンテナ16本からの受信信号を合成器へ入力し,合成後の電力損失について調査を行なった。具体的な機器構成としては,0.5 m 間隔で 8×2 個の素子を並べた受信アレイを構成し,送信アンテナを受信アレイから 25 m 離して配置した。このアンテナ配置は,アレイ中心のエレメントと最端のエレメントとが受信する信号の位相差を,327 MHz の電波波長 (およそ 0.917 m) の 1/20 以下に収めるようにした。
16ポートへの入力値の合計に対して出力値を比べると,13 dB の電力損失が確認された。これは,事前実験の結果を受けて,およそ 5 dB と見込んでいた電力損失に比べて非常に大きな値である。そこで合成器への入力である各アンテナの受信信号のパワースペクトルを確認すると,アレイの中心から両端のアンテナにかけて,対称なスペクトル形状の変化を確認することができなかった。これは,実験における周辺環境 (壁や車の人工物や,地面など) からの電波の反射・干渉が影響した可能性が考えられる。より正確に信号合成系の評価を行うには,アンテナの遠方界条件を満たすことができ,かつ人工物が少ない広い敷地で実験する必要があると考えられる。
