17:15 〜 18:45
[PEM16-P08] 膨張と温度異方性を取り入れた太陽コロナでのパラメトリック崩壊不安定性の研究

キーワード:太陽、コロナ、パラメトリック崩壊不安定性、線形解析
アルフヴェン波はコロナ加熱や太陽風加速において重要な役割を果たしていると考えられているが、その散逸プロセスについては多くの謎が残されている。パラメトリック崩壊不安定性(以下、PDI)は、前向きに伝播している大振幅のアルフヴェン波が後ろ向きに伝播するアルフヴェン波と前向きに伝播するスロー磁気音波に共鳴して崩壊する波動同士の非線形相互作用である。PDIによって生成されるスロー磁気音波は衝撃波を形成することで太陽風のイオンの加熱率を上昇させることや生成される密度揺動によるアルフヴェン波の反射がアルフヴェン乱流を強めて乱流加熱を促進する役割を果たすことなどが指摘されている[e.g.,Shoda et al.,2018]。したがって、PDIがコロナ加熱や太陽風加速に重要な物理プロセスであると考えられる。近年では太陽大気におけるPDIについての研究に大きな進展があり、理論的にも観測的にも太陽風中でPDIが働いていること[e.g.,Tenerani and Velli, 2013; Bowen et al., 2018]、また遷移層近くの太陽下部大気でもPDIが働いていることが示されている[e.g.,Hahn et al.,2022]。過去の研究によりPDIの成長率は、磁場垂直方向温度が磁場平行方向温度に対して卓越するほど、磁場平行方向のプラズマベータの値が低いほど、親波の振幅が大きいほど、大きくなることが分かっている[e.g.,Tenerani et al., 2017]。
本研究では、CGL方程式系を線形化することで導出される分散関係式を用いて、太陽コロナにおけるPDIの最大成長率を求め、プラズマの体積膨張がPDIに及ぼす影響をを調べた。
その結果、磁場平行方向温度に対しての磁場垂直方向温度の比率を表すパラメータをξ、平行方向のβをβ_para、親波の規格化された振幅の大きさをB_perp^2とすると、(ξ, β_para, B_perp^2)=(10, 0.01, 1)の条件で最大成長率ω_iが親波の周波数ω_0に対して0.59ω_0となり、コロナではPDIが顕著に発生していることが推察できた。また、B_perp^2は一定、プラズマの体積膨張によりξがr^-2、β_paraがr^2で変化すると仮定すると、ξ=5、β_para=0.02でω_i=0.54ω_0となることが示された。この結果は、プラズマの体積膨張に伴いPDIが抑制される傾向を示している。膨張による3つのパラメータξ、β_para、 B_perp^2の動径方向距離依存性やコロナでのパラメータの値に基づいて線形成長率の計算を行い、過去の研究と比較して考察する。
本研究では、CGL方程式系を線形化することで導出される分散関係式を用いて、太陽コロナにおけるPDIの最大成長率を求め、プラズマの体積膨張がPDIに及ぼす影響をを調べた。
その結果、磁場平行方向温度に対しての磁場垂直方向温度の比率を表すパラメータをξ、平行方向のβをβ_para、親波の規格化された振幅の大きさをB_perp^2とすると、(ξ, β_para, B_perp^2)=(10, 0.01, 1)の条件で最大成長率ω_iが親波の周波数ω_0に対して0.59ω_0となり、コロナではPDIが顕著に発生していることが推察できた。また、B_perp^2は一定、プラズマの体積膨張によりξがr^-2、β_paraがr^2で変化すると仮定すると、ξ=5、β_para=0.02でω_i=0.54ω_0となることが示された。この結果は、プラズマの体積膨張に伴いPDIが抑制される傾向を示している。膨張による3つのパラメータξ、β_para、 B_perp^2の動径方向距離依存性やコロナでのパラメータの値に基づいて線形成長率の計算を行い、過去の研究と比較して考察する。
