日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM17] 宇宙プラズマ科学

2024年5月30日(木) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:天野 孝伸(東京大学 地球惑星科学専攻)、三宅 洋平(神戸大学大学院システム情報学研究科)、諌山 翔伍(九州大学総合理工学研究院)、梅田 隆行(北海道大学 情報基盤センター)

17:15 〜 18:45

[PEM17-P13] 相対論的衝撃波におけるBuneman不安定性の飽和レベルの評価

*福田 悠斗1天野 孝伸1 (1.東京大学大学院)

キーワード:相対論的衝撃波

宇宙を彷徨う高エネルギーな宇宙線がどのように作られているかは未だによく理解されていない。宇宙に存在する高エネルギー粒子のエネルギー分布はベキ乗型になっていることが知られており、これらの粒子はどのように加速されるのかさまざまな議論がなされている。標準的なモデルとして1次フェルミ加速が知られている。これはベキ乗型のエネルギー分布を説明可能だが、電子注入問題などの問題が存在する。そこで、粒子の初期加速のメカニズムを追求するために、我々は衝撃波遷移層の物理に着目する。衝撃波遷移層では、粒子が効率的に加速されることがよく知られている。本研究では、電子とイオンの間で相対速度を持つ場合に生じる静電的な不安定性である Buneman 不安定性に注目する。
先行研究より、非相対論領域においてBuneman不安定性によって、衝撃波遷移層で急速かつ強い電子加熱を引き起こすことが分かっている[Shimada & Hoshino, 2000]。Buneman不安定性は非相対論領域では、ビーム方向の波数に最大線形成長率を持つことが知られているが、相対論領域では線形成長の性質が変化する。すなわち、ビーム方向の線形成長率が抑制され、最大成長率を持つ波数がビームに対して斜め方向に変化することが知られている[Dieckmann et al, 2008]。しかしその非線形発展、特に飽和レベルの波数依存性や飽和メカニズムはよく調べられていない。
そこで我々は、周期的な境界条件を持つ局所モデルを採用し、衝撃波遷移領域のPIC(Particle-in-Cell)シミュレーションを実施した。初めに、理論から予測される最大成長率と1次元シミュレーション結果を比較し、衝撃波速度のローレンツ因子依存性を確かめた。さらに2次元シミュレーション結果を用いて、不安定性の飽和レベル、及び飽和時にパワーが卓越する波数を調べた。本講演では、それらの結果を用いて相対論領域と非相対論領域での非線形発展の違いを議論する。