17:15 〜 18:45
[PPS01-P11] 地上望遠鏡を用いた天王星大気の輸送速度の推定
キーワード:天王星、外惑星、地上望遠鏡、分光観測
天王星は公転⾯に対し地軸が98 ゚傾いた状態で公転する惑星である。2024年2⽉現在、過去の接近観測は1986 年のボイジャー2 号によるフライバイ観測のみであり、この他は望遠鏡により観測が続けられている。2007年に春分点を通過し、2014年からは北極域にメタン沈降に起因する極冠が観察されている[Toledo et al., 2018]。また、H-band(1.6 μm)における観測では他の部分よりも明るい局所雲領域が確認されている[Sromovsky et al., 2015]。また、ハッブル望遠鏡(HST)による雲頂模様のトラッキングから帯状⾵の最⾼速度は南北60 ゚付近でそれぞれ約250 m/s と推定されている[Soyuer et al., 2021]。
本研究ではまず、北海道大学が所有する1.6 mピリカ望遠鏡のカセグレン焦点に搭載された撮像装置MSI [Watanabe et al., 2012]を使用して天王星の継続観測を行い、天王星大気成分であるメタンとアンモニアによる吸収量を用いて各高度における帯状風由来の輸送速度の推定を行った。2021年12月から2022年12月の観測では、MSIで波長域530 - 760 nmの波長域での分光撮像を行い、アンモニア吸収波長552 nmとメタン吸収波長619 nmにおける吸収量変化と天王星の周期より輸送速度を推定した。この結果、メタン吸収波長では[Soyuer et al., 2021]と同様の速度が推定されたが、アンモニア吸収波長においては速い速度が算出された。
次に、天王星に見られる輝度変化から局所雲の移動、大気の鉛直輸送量を推定する。2023年8月-2024年1月の観測では、MSI及びカセグレン焦点に搭載された分光装置UVSによる並行観測を行い、1ヶ月以内の観測スパンでの輝度変化から局所雲の位置を推定する。
本発表では、MSIで撮像した画像の極冠領域・全体領域の測光結果と、UVSにおける分光結果を取り上げ、局所雲の移動による輝度変化の簡単なシミュレーションとの比較、今後の観測展望を議論する。
本研究ではまず、北海道大学が所有する1.6 mピリカ望遠鏡のカセグレン焦点に搭載された撮像装置MSI [Watanabe et al., 2012]を使用して天王星の継続観測を行い、天王星大気成分であるメタンとアンモニアによる吸収量を用いて各高度における帯状風由来の輸送速度の推定を行った。2021年12月から2022年12月の観測では、MSIで波長域530 - 760 nmの波長域での分光撮像を行い、アンモニア吸収波長552 nmとメタン吸収波長619 nmにおける吸収量変化と天王星の周期より輸送速度を推定した。この結果、メタン吸収波長では[Soyuer et al., 2021]と同様の速度が推定されたが、アンモニア吸収波長においては速い速度が算出された。
次に、天王星に見られる輝度変化から局所雲の移動、大気の鉛直輸送量を推定する。2023年8月-2024年1月の観測では、MSI及びカセグレン焦点に搭載された分光装置UVSによる並行観測を行い、1ヶ月以内の観測スパンでの輝度変化から局所雲の位置を推定する。
本発表では、MSIで撮像した画像の極冠領域・全体領域の測光結果と、UVSにおける分光結果を取り上げ、局所雲の移動による輝度変化の簡単なシミュレーションとの比較、今後の観測展望を議論する。