[P-PS05] Mercury Science and Exploration

[PPS05-P03] 水星磁気圏内部におけるイオンダイナミクスに関するハイブリッド粒子シミュレーション

*高村 彪丸¹、臼井 英之¹、三宅 洋平¹、松本 正晴² (1.神戸大学大学院システム情報学研究科、2.福島大学情報基盤センター)

キーワード：水星、磁気圏、イオンダイナミクス、ハイブリッド粒子シミュレーション

水星は地球と同じように固有磁場を持ち、太陽風プラズマとの相互作用によって磁気圏が形成されるが、太陽からの距離や磁気ダイポールモーメントの違いにより地球磁気圏の約1/20倍の磁気圏サイズ等異なった様相を呈することがこれまでの衛星観測によって明らかにされている。このため水星磁気圏の研究においては、太陽風プラズマ、特にイオンの運動論的効果が非常に重要となる。
本研究の目的は2025年12月に水星の直接観測を予定する「BepiColombo国際水星探査計画」に向け、水星磁気圏の構造、磁気圏への太陽風イオンの流入プロセスおよび磁気圏内部でのイオンの挙動について、イオンの運動論的観点から3次元ハイブリッド粒子シミュレーションを用いて明らかにすることである。特に今発表では、水星表面近傍のイオンダイナミクスについてドリフト運動やバウンス運動を含め粒子軌道、電流構造、イオンと電磁場の相互作用の観点から行った解析の進捗結果を報告する。
地球磁気圏においてイオン粒子のドリフト運動は一般にリングカレントを成すための大きなソースとして知られているが、水星においてはその存在や構造の差異は未だ議論の最中にある。今回はそれに関連し、水星磁気圏でのリングカレント形成の可能性やそのプロセスについても議論を行う。