日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS05] Mercury Science and Exploration

2024年5月31日(金) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:村上 豪(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)、相澤 紗絵(Institute de Recherche en Astrophysique et Planetologie)、原田 裕己(京都大学理学研究科)、鎌田 俊一(北海道大学 理学研究院)

17:15 〜 18:45

[PPS05-P04] 水星夜側磁気圏における特徴的な磁場構造の統計解析

*小川 琢郎1篠原 育2村上 豪2相澤 紗絵3 (1.東京大学、2.宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所、3.プラズマ物理学研究所)

キーワード:水星、磁気圏

水星には磁気圏があることは広く知られている.地球磁気圏とよく似た磁気圏構造も有している一方で,磁場固有磁場の強さや受ける太陽風の強さといった物理条件の違いによって,水星磁気圏特有の現象が起こることや,地球磁気圏によく似た現象であっても空間・時間スケールが大きく異なり得ることがわかっている.過去水星磁気圏を周回探査した衛星はMESSENGERのみである.しかし,MESSENGERは様々な制約を抱えていたため,その詳細は明らかになっていないことが多く残っている.
MESSENGERで観測された磁場データに注目すると,磁気圏夜側領域に特徴的な窪み構造が確認できる.衛星がほとんど同じ領域を通過する連続した周回においても,この窪み構造が観測される場合と観測されない場合がある.このことから,この構造は数時間程度の時間スケールで変化していると考えられる.
この構造は磁気圏夜側領域において広い領域で観測されている.複数の先行研究でこの構造はneutral sheetによるものであると結論付けられており,それ以上の踏み込んだ研究はされてきていない.しかし,この窪み構造をつくっている磁場成分に注目すると,水星近傍で観測されるものと磁気圏尾部側で観測されるものでは主成分が異なっていることがわかる.このことから,特に水星近傍で観測される窪み構造はneutral sheet以外のなんらかの磁気圏構造の影響を受けていると考えられる.
本研究ではこの構造を「dip」と呼び,dipが空間的にどのような場所で生じているのか,どのような条件で生じているのかを統計的に解析したのち,neutral sheetに依らない磁場変動が,水星磁気圏のどのような構造に依っているのかの物理的解釈を行っている.
本講演では研究の現状について報告する.