日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS07] 惑星科学

2024年5月30日(木) 15:30 〜 16:45 102 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:荒川 創太(海洋研究開発機構)、田畑 陽久(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、冨永 遼佑(東京工業大学 理学院地球惑星科学系)、座長:田畑 陽久(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、冨永 遼佑(理化学研究所 開拓研究本部 坂井星・惑星形成研究室)、荒川 創太(海洋研究開発機構)

16:00 〜 16:15

[PPS07-03] 原始惑星衝突シミュレーションと衝突モデルの構築

*小林 浩1 (1.名古屋大学理学研究科)

キーワード:惑星衝突、惑星形成

惑星は衝突をくりかえし形成されるが、衝突に伴い合体だけでなく、破壊も起きる。惑星形成を考える上で、衝突モデルは非常に重要である。本研究では、自己重力が支配的な天体に対する衝突モデルの構築のために、Smoothed Particle Hydrodynamics (SPH)法による衝突シミュレーションをおこなった。
 火星質量のターゲットに、衝突体質量(1/30-1火星質量)や衝突角度(30,45,60度)、衝突速度(1.1-32倍の脱出速度)をパラメータとして、シミュレーションを行なった。衝突シミュレーションの結果、衝突パラメータに応じて「合体」、「すれ違い(hit-and-run)」、「大規模破壊」が起きることが知られていたが、本研究でも同様の結果が得られた。これらの物理が理解できるように、「最大破片」だけでなく、「2番目に大きな破片」にも注目してシミュレーション結果の解析を行なった。
 衝突天体は衝突時に強く相互作用する部分とすれ違うだけで相互作用が小さい部分がある。そのため、衝突天体同士が弾丸軌道でまっすぐに移動する時に重複する部分の質量に注目した。その結果、重複する質量により衝撃波に使われるエネルギーEsが計算でき、それ以外の残余エネルギーErと分けて考えることで、衝突結果を理解できることがわかった。Erが重力エネルギー程度より大きくなると、「合体」から「すれ違い」に衝突結果が変化する。また、Esと重力エネルギーの比の関数として、破壊の度合いが決められることもわかった。
 この結果をもとに、衝突結果を解析的に記述する衝突モデルの構築に成功した。この衝突モデルを使えば、将来、現実的な惑星形成のシミュレーションが可能になる。