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[PPS07-20] 次世代小天体サンプルリターンミッション:ミッション概要
キーワード:太陽系探査、小天体、彗星、サンプルリターン
サンプルリターンミッションは、地球外物質を地球に持ち帰る有力な手法である。我々は、はやぶさ2とMMXに続く小天体サンプルリターンミッションとして、次世代小天体サンプルリターン(NGSR)ワーキンググループ(WG)を立上げ、理工一体の体制でミッション検討を実施してきた。惑星科学分野と銀河・星形成分野の将来ロードマップにおける結節点として、本ミッションの科学目的をI)銀河物質進化を辿る太陽系“物質”の起源の解明、およびII)微惑星形成過程に迫る太陽系“天体”の起源の解明と設定した。ミッションの前提条件と探査機システムの軌道成立性を考慮して、探査目標天体のノミナル候補として木星族彗星289P/Blanpainを選定した。ノミナルミッション期間は、2034年打上、2040年天体到着、2046年地球帰還である。探査機システムは、地球から彗星への往還輸送を担う深宇宙軌道間輸送機(DS-OTV)と、彗星近傍でのタッチダウン(TD)サンプリングを担う着陸機から構成される。これにより、TD運用に伴う探査機全損のリスク回避と、挑戦的な地形へのサンプリングを両立させる。複数地点からのサンプリングと小型衝突装置(SCI)等を用いた地下物質へのアクセスによって、彗星の表面物質だけでなく、宇宙風化等の影響のない地下物質を採取する。着陸機が採取した試料はTD毎にDS-OTVに引き渡され、サンプルリターンカプセルによって地球に帰還させる。彗星の揮発性物質と有機物は、探査機に搭載された高分解能質量分析計(HRMS)によって質量分析を行う。サンプルリターンに加えて、彗星の形成過程(ぺブルパイル天体か、ラブルパイル天体か)を明らかにするため、DS-OTVと着陸機によるバイスタティックレーダ観測と、地震計による内部構造探査の実施を検討している。本ミッションは、戦略的中型計画候補として2024年度に宇宙航空研究開発機構(JAXA)に提案する。