日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS07] 惑星科学

2024年5月31日(金) 15:30 〜 16:45 102 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:荒川 創太(海洋研究開発機構)、田畑 陽久(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、冨永 遼佑(東京工業大学 理学院地球惑星科学系)、座長:笹井 遥(神戸大学大学院理学研究科)、田畑 陽久(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、荒川 創太(海洋研究開発機構)、冨永 遼佑(理化学研究所 開拓研究本部 坂井星・惑星形成研究室)

16:30 〜 16:45

[PPS07-20] 次世代小天体サンプルリターンミッション:ミッション概要

*嶌生 有理1黒川 宏之2坂谷 尚哉1深井 稜汰1岡田 達明1、青木 順3癸生川 陽子4熊本 篤志5田中 智1川村 太一6浦川 聖太郎7巽 瑛理1、高尾 勇輝8菊地 翔太9、松本 純1森 治1、佐伯 孝尚1津田 雄一1、次世代小天体サンプルリターン ワーキンググループ (1.宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所、2.東京大学 大学院総合文化研究科広域科学専攻、3.大阪大学 大学院生命機能研究科 、4.東京工業大学 理学院地球惑星科学系、5.東北大学 大学院理学研究科 、6.パリ大学、7.日本スペースガード協会 、8.九州大学 工学研究院、9.国立天文台)

キーワード:太陽系探査、小天体、彗星、サンプルリターン

サンプルリターンミッションは、地球外物質を地球に持ち帰る有力な手法である。我々は、はやぶさ2とMMXに続く小天体サンプルリターンミッションとして、次世代小天体サンプルリターン(NGSR)ワーキンググループ(WG)を立上げ、理工一体の体制でミッション検討を実施してきた。惑星科学分野と銀河・星形成分野の将来ロードマップにおける結節点として、本ミッションの科学目的をI)銀河物質進化を辿る太陽系“物質”の起源の解明、およびII)微惑星形成過程に迫る太陽系“天体”の起源の解明と設定した。ミッションの前提条件と探査機システムの軌道成立性を考慮して、探査目標天体のノミナル候補として木星族彗星289P/Blanpainを選定した。ノミナルミッション期間は、2034年打上、2040年天体到着、2046年地球帰還である。探査機システムは、地球から彗星への往還輸送を担う深宇宙軌道間輸送機(DS-OTV)と、彗星近傍でのタッチダウン(TD)サンプリングを担う着陸機から構成される。これにより、TD運用に伴う探査機全損のリスク回避と、挑戦的な地形へのサンプリングを両立させる。複数地点からのサンプリングと小型衝突装置(SCI)等を用いた地下物質へのアクセスによって、彗星の表面物質だけでなく、宇宙風化等の影響のない地下物質を採取する。着陸機が採取した試料はTD毎にDS-OTVに引き渡され、サンプルリターンカプセルによって地球に帰還させる。彗星の揮発性物質と有機物は、探査機に搭載された高分解能質量分析計(HRMS)によって質量分析を行う。サンプルリターンに加えて、彗星の形成過程(ぺブルパイル天体か、ラブルパイル天体か)を明らかにするため、DS-OTVと着陸機によるバイスタティックレーダ観測と、地震計による内部構造探査の実施を検討している。本ミッションは、戦略的中型計画候補として2024年度に宇宙航空研究開発機構(JAXA)に提案する。