17:15 〜 18:45
[PPS07-P12] Rubble-pile小惑星集積過程の剛体物理シミュレーションによる再現と小惑星形状・内部構造の研究
キーワード:小惑星、rubble-pile、剛体物理シミュレーション、サイズ頻度分布
小惑星Itokawa、RyuguやBennuなど、rubble-pile構造を持つ小惑星の存在は広く知られている。これらのrubble-pile小惑星は、母天体の衝突破片の集積によって形成された、という共通する形成過程を持っているはずでありながら、外見には大きな多様性がある。小惑星形状の多様性は地上または宇宙望遠鏡によるライトカーブ観測からも示唆されている。また、当初はItokawaのように大きなマクロ空隙率を保つことがrubble-pile小惑星の特徴であるとみなされていたが、RyuguやBennuの大きなバルク空隙率はむしろミクロな空隙に由来する可能性が指摘されている。つまり、Rubble-pile小惑星はバルク空隙率も多様性があるということになる。
本研究では、Rubble-pile小惑星の集積過程を剛体物理シミュレーションで再現することで、その全体形状、内部構造の多様性がどのような要因で生じるのかを調べることを目指している。オープンソースの物理シミュレーションエンジンであるChronoを用いてrubble-pileを構成する母天体の衝突破片の集積、合体の過程を再現し、形成されたrubble-pile小惑星の三軸比や空隙率を計測した。個別の破片形状は、衝突破壊実験で形成される破片や小惑星表面に存在する岩塊の典型的な軸比である2:√2:1として、冪乗則(冪指数-2.5)に従った衝突破片のサイズ頻度分布モデルを同サイズの最大破片が四個存在する寡占ケースと、ただ一つの最大破片が存在する独占ケースの二種類準備した。このモデルに沿った破片をランダムな順番で集積させるシミュレーションを多数回繰り返すことで、Rubble-pile小惑星の三軸比や空隙率の分布、範囲が再現され得るか、またItokawaのような極端な形状を持つ小惑星が形成され得るかの検証を行なった。
RyuguやBennuのような三軸比が1に近い形状を持つrubble-pile小惑星は寡占ケース、独占ケースのいずれの場合もごく自然に形成されることがわかった。しかし、試行全体で得られた軸比の分布範囲は、ライトカーブ観測から推定される小惑星の軸比の分布範囲より球形に近い方に偏っている。さらに、Itokawaのような極端に細長い形状を持つ小惑星が形成される結果は全く発生しなかった。これは、集積過程の中で小さい破片が小惑星上の低地に移動することで、より三軸比が1に近い形状になろうとする物理が働いていることによる。この傾向は衝突破片のサイズ頻度分布モデルの種類を問わず生じている。一方、マクロ空隙率は常にItokawaのように大きい値を取ることがわかった。今回使用した衝突破片のサイズ頻度分布モデルでは、冪関数の傾きは比較的緩やかで、最小破片サイズの打ち切りも行なっている。冪関数の傾きを急にしたり、破片サイズの打ち切り位置を小さい方に変えたサイズ頻度モデルを用いた場合は、マクロ空隙率が減少することが予想されるが、RyuguやBennuの推定マクロ空隙率が実現される条件を見出すためには、今後さらなる検討が必要である。
本研究では、Rubble-pile小惑星の集積過程を剛体物理シミュレーションで再現することで、その全体形状、内部構造の多様性がどのような要因で生じるのかを調べることを目指している。オープンソースの物理シミュレーションエンジンであるChronoを用いてrubble-pileを構成する母天体の衝突破片の集積、合体の過程を再現し、形成されたrubble-pile小惑星の三軸比や空隙率を計測した。個別の破片形状は、衝突破壊実験で形成される破片や小惑星表面に存在する岩塊の典型的な軸比である2:√2:1として、冪乗則(冪指数-2.5)に従った衝突破片のサイズ頻度分布モデルを同サイズの最大破片が四個存在する寡占ケースと、ただ一つの最大破片が存在する独占ケースの二種類準備した。このモデルに沿った破片をランダムな順番で集積させるシミュレーションを多数回繰り返すことで、Rubble-pile小惑星の三軸比や空隙率の分布、範囲が再現され得るか、またItokawaのような極端な形状を持つ小惑星が形成され得るかの検証を行なった。
RyuguやBennuのような三軸比が1に近い形状を持つrubble-pile小惑星は寡占ケース、独占ケースのいずれの場合もごく自然に形成されることがわかった。しかし、試行全体で得られた軸比の分布範囲は、ライトカーブ観測から推定される小惑星の軸比の分布範囲より球形に近い方に偏っている。さらに、Itokawaのような極端に細長い形状を持つ小惑星が形成される結果は全く発生しなかった。これは、集積過程の中で小さい破片が小惑星上の低地に移動することで、より三軸比が1に近い形状になろうとする物理が働いていることによる。この傾向は衝突破片のサイズ頻度分布モデルの種類を問わず生じている。一方、マクロ空隙率は常にItokawaのように大きい値を取ることがわかった。今回使用した衝突破片のサイズ頻度分布モデルでは、冪関数の傾きは比較的緩やかで、最小破片サイズの打ち切りも行なっている。冪関数の傾きを急にしたり、破片サイズの打ち切り位置を小さい方に変えたサイズ頻度モデルを用いた場合は、マクロ空隙率が減少することが予想されるが、RyuguやBennuの推定マクロ空隙率が実現される条件を見出すためには、今後さらなる検討が必要である。