17:15 〜 18:45
[PPS08-P01] 火成リム先駆体とコンドリュールの衝撃波後面の進化
キーワード:火成リム、コンドリュール
コンドリュールは隕石中に存在する0.1 mmから1 mm程度のサイズの球状粒子であり,コンドライト隕石の主要な構成物質である.コンドリュールはガス円盤中の加熱現象で溶融し形成した.コンドリュールの中にはリムと呼ばれる周囲を小さなダストに覆われた構造を持つものがある.リムには1 μmサイズ程度のダストによる細粒リム(fine-grained rim)と10 μmサイズ程度のダストによる火成リム(coarse-grained igneous rimが存在する.火成リムはコンドリュール同様の溶融過程を経験したと考えられている(e.g., Rubin 1984).
火成リムはコンドリュールが集積した細粒リムが再溶融イベントを通して形成したと主に考えられている(e.g., Krot & Wasson 1995).火成リムが細粒リムが溶融したものであるならば同程度の厚みであることが予想される.我々は文献調査とコンドリュールのリム集積のモデル計算を行った.細粒リムの厚みはおおよそモデル計算に一致する.これはコンドリュールのサイズと細粒リム先駆体ダストのコンドリュールとの存在比によっておおよそ記述できる.同程度のコンドリュールサイズとダスト存在比の火成リムは細粒リムよりも厚い.これは火成リムの形成に細粒リムの溶融以外の別の過程が寄与していることを示唆している(Matsumoto, Hasegawa, Matsuda, Liu 2021).
コンドリュールを溶融した加熱現象の候補の1つが衝撃波加熱である(e.g., Hood & Horanyi 1991; Iida et al. 2001).これは衝撃波により生じた円盤ガスとダストの間の相対速度によって,ダストが摩擦を受けて加熱される仕組みにあたる.我々は火成リム先駆体ダストの溶融過程として衝撃波加熱モデルに着目した.衝撃波後面の1次元モデル(Arakawa & Nakamoto 2019)を数値計算(Miura et al., 2002; Miura & Nakamoto 2005)に合うように改良し,衝撃波後面でのコンドリュールのダスト集積可能性を調べた.ダストの溶融条件を満たす衝撃波は~10 km/sであり,このような衝撃波の後面では制動距離の差からダストとコンドリュールは衝撃波速度程度にも及ぶ相対速度になる.このような高速では溶融ダストはコンドリュールに付着できないが,溶融ダストの温度が低下していくと過冷却中にダストの粘性が非常に上昇しコンドリュールに付着するようになる.過冷却中とその後凝結後のダストが付着することでコンドリュールは火成リムを獲得する.一度の衝撃波で獲得できる火成リムの厚みは観測された厚みよりも小さく,観測の説明には複数回のイベントが必要となる(Matsumoto & Arakawa 2023).
衝撃波後面では~10 km/sにも及ぶ高速衝突をコンドリュールとダストが起こしうる.このような高速衝突はコンドリュールの掘削や破壊を起こしうる.特にコンドリュールが溶融している場合,液滴は強度が著しく減少するため,高速衝突はコンドリュールを破壊してしまう.我々はコンドリュールとダストの衝突をクレータスケーリング則を基に考慮し,衝撃波後面での衝突のコンドリュールへの影響を調べた.この結果,コンドリュールが小さく,おおよそ0.1 mmよりも小さい場合は溶融時の衝突を避けたコンドリュールが生き残ることがわかった.またコンドリュールが大きくかつ衝撃波速度が低速の場合は,コンドリュールが溶融せず,溶融ダストの高速衝突によってコンドリュールは10%程度まで質量を失いうる.この場合,溶融ダストが過冷却状態になり,かつコンドリュールとダストの相対速度が低速になって以降は火成リム集積が起こる.コンドリュールが0.1 mm程度よりも大きくかつコンドリュールが溶融する場合,ダストは液滴のコンドリュールに高速衝突を起こし,コンドリュールは破壊される.この結果はコンドリュール形成とリム集積の衝撃波は全く別で,コンドリュール形成時には火成リム先駆体となるダストがあってはならないことを示している.
火成リムはコンドリュールが集積した細粒リムが再溶融イベントを通して形成したと主に考えられている(e.g., Krot & Wasson 1995).火成リムが細粒リムが溶融したものであるならば同程度の厚みであることが予想される.我々は文献調査とコンドリュールのリム集積のモデル計算を行った.細粒リムの厚みはおおよそモデル計算に一致する.これはコンドリュールのサイズと細粒リム先駆体ダストのコンドリュールとの存在比によっておおよそ記述できる.同程度のコンドリュールサイズとダスト存在比の火成リムは細粒リムよりも厚い.これは火成リムの形成に細粒リムの溶融以外の別の過程が寄与していることを示唆している(Matsumoto, Hasegawa, Matsuda, Liu 2021).
コンドリュールを溶融した加熱現象の候補の1つが衝撃波加熱である(e.g., Hood & Horanyi 1991; Iida et al. 2001).これは衝撃波により生じた円盤ガスとダストの間の相対速度によって,ダストが摩擦を受けて加熱される仕組みにあたる.我々は火成リム先駆体ダストの溶融過程として衝撃波加熱モデルに着目した.衝撃波後面の1次元モデル(Arakawa & Nakamoto 2019)を数値計算(Miura et al., 2002; Miura & Nakamoto 2005)に合うように改良し,衝撃波後面でのコンドリュールのダスト集積可能性を調べた.ダストの溶融条件を満たす衝撃波は~10 km/sであり,このような衝撃波の後面では制動距離の差からダストとコンドリュールは衝撃波速度程度にも及ぶ相対速度になる.このような高速では溶融ダストはコンドリュールに付着できないが,溶融ダストの温度が低下していくと過冷却中にダストの粘性が非常に上昇しコンドリュールに付着するようになる.過冷却中とその後凝結後のダストが付着することでコンドリュールは火成リムを獲得する.一度の衝撃波で獲得できる火成リムの厚みは観測された厚みよりも小さく,観測の説明には複数回のイベントが必要となる(Matsumoto & Arakawa 2023).
衝撃波後面では~10 km/sにも及ぶ高速衝突をコンドリュールとダストが起こしうる.このような高速衝突はコンドリュールの掘削や破壊を起こしうる.特にコンドリュールが溶融している場合,液滴は強度が著しく減少するため,高速衝突はコンドリュールを破壊してしまう.我々はコンドリュールとダストの衝突をクレータスケーリング則を基に考慮し,衝撃波後面での衝突のコンドリュールへの影響を調べた.この結果,コンドリュールが小さく,おおよそ0.1 mmよりも小さい場合は溶融時の衝突を避けたコンドリュールが生き残ることがわかった.またコンドリュールが大きくかつ衝撃波速度が低速の場合は,コンドリュールが溶融せず,溶融ダストの高速衝突によってコンドリュールは10%程度まで質量を失いうる.この場合,溶融ダストが過冷却状態になり,かつコンドリュールとダストの相対速度が低速になって以降は火成リム集積が起こる.コンドリュールが0.1 mm程度よりも大きくかつコンドリュールが溶融する場合,ダストは液滴のコンドリュールに高速衝突を起こし,コンドリュールは破壊される.この結果はコンドリュール形成とリム集積の衝撃波は全く別で,コンドリュール形成時には火成リム先駆体となるダストがあってはならないことを示している.
