17:15 〜 18:45
[SCG48-P03] GNSS-A観測における音速場の時間変化
キーワード:GNSS-A、内部潮汐波、メソスケール渦
センチメートルレベルのGNSS-A観測のためには,海上の音響局と海底局の間の音響信号の経路中から受ける擾乱をモデル化しなければならない.過去,様々なモデル化が試みられてきており,GARPOS(Watanabe et al., 2020, FES)では,海面と海底の局の位置に対する関数としてモデル化している.実際の海洋場は取得された関数から特徴的な傾斜場として解釈することができ,定量的に評価できることが示されている(Yokota et al., under review).
海上保安庁が運用するSGO-Aは観測開始から20年程度の観測データを蓄積しており,そのデータから過去の様々な海洋場を見ることができる.本研究では,SGO-Aにおける全データの傾斜場パラメータを抽出し,その時間変化の特徴を考える.
取り出された平均音速度と傾斜場は時間変化しており,ともに潮汐のうち最大の振幅を持つM2分潮と同じ半日周成分が明瞭に生じている.より振幅が小さい成分も持ち,観測点によっては異なる周期帯や時間に局在化した現象も生じている.この特徴は定点観測を主体とするデータで検討されたMatsui et al. (2019, MGR)で指摘されている時間変化の特徴と異なり,SGO-Aの広範測線観測における特徴と言える.すなわち,半日周成分は相対的に浅い範囲から受ける影響である.
過去のデータからこの時間変化傾斜場の深度の平均を見ると,日本海溝側では100~200mと浅く,南海トラフ側では400m程度と深かった.この深度は時間変化を取り除いた平均傾斜場深度(不変傾斜場深度)よりも概ね浅い.不変傾斜場深度は黒潮などの大局構造と考えられる.海域内の変化傾斜場深度は観測点によらず概ね一定である.この特徴はある海域での傾斜場発生要因が同じであることを示唆している.南海トラフ側での時間変化は潮汐の影響や内部潮汐波 (e.g., Niwa and Hibiya, 2001, JGR)を,日本海溝北側での浅い変化層はメソスケール渦の影響をそれぞれ示していると考えられる.GNSS-Aの抽出パラメータからこれらの現象を定量的に評価することができる.
謝辞:本研究は地震研究所共同利用ERI JURP 2022-Y-KOBO25,SECOM 科学技術財団,科研費学術変革領域 (A) “Science of Slow-to-Fast Earthquakes“のJP21H05200の助成を受けました.
海上保安庁が運用するSGO-Aは観測開始から20年程度の観測データを蓄積しており,そのデータから過去の様々な海洋場を見ることができる.本研究では,SGO-Aにおける全データの傾斜場パラメータを抽出し,その時間変化の特徴を考える.
取り出された平均音速度と傾斜場は時間変化しており,ともに潮汐のうち最大の振幅を持つM2分潮と同じ半日周成分が明瞭に生じている.より振幅が小さい成分も持ち,観測点によっては異なる周期帯や時間に局在化した現象も生じている.この特徴は定点観測を主体とするデータで検討されたMatsui et al. (2019, MGR)で指摘されている時間変化の特徴と異なり,SGO-Aの広範測線観測における特徴と言える.すなわち,半日周成分は相対的に浅い範囲から受ける影響である.
過去のデータからこの時間変化傾斜場の深度の平均を見ると,日本海溝側では100~200mと浅く,南海トラフ側では400m程度と深かった.この深度は時間変化を取り除いた平均傾斜場深度(不変傾斜場深度)よりも概ね浅い.不変傾斜場深度は黒潮などの大局構造と考えられる.海域内の変化傾斜場深度は観測点によらず概ね一定である.この特徴はある海域での傾斜場発生要因が同じであることを示唆している.南海トラフ側での時間変化は潮汐の影響や内部潮汐波 (e.g., Niwa and Hibiya, 2001, JGR)を,日本海溝北側での浅い変化層はメソスケール渦の影響をそれぞれ示していると考えられる.GNSS-Aの抽出パラメータからこれらの現象を定量的に評価することができる.
謝辞:本研究は地震研究所共同利用ERI JURP 2022-Y-KOBO25,SECOM 科学技術財団,科研費学術変革領域 (A) “Science of Slow-to-Fast Earthquakes“のJP21H05200の助成を受けました.