17:15 〜 18:45
[SCG48-P35] 表層堆積物分布が示唆するトカラ列島周辺海域の堆積環境
キーワード:トカラ列島、海底堆積物、堆積学
産業技術総合研究所地質調査総合センターでは2020~2022年度に南西諸島北部のトカラ列島周辺海域における海域地質調査を実施した。このうちGB21-1/2/3/GB22-1/2/KH-22-2/KH-23-1の計7航海で表層堆積物を網羅的に取得した。
トカラ列島周辺海域には、北琉球と中琉球を分ける地形境界であるトカラ海峡が存在し、陸地面積としては僅かだが多数の火山島や海底火山が分布している。また、黒潮が東シナ海から島嶼部を通過し、太平洋に抜ける蛇行域でもあるなど地球科学的な研究課題を潜在的に多く有する海域である。しかし、陸地面積の少なさなどからこれまで詳細な海域地質調査は行われていなかった。
本海域で約10kmの解像度で取得した260点以上の堆積物試料・海底写真などのデータによると、トカラ列島周辺海域の堆積物は主に火山性砕屑物、生物源粒子から構成されている。また柱状採泥試料から推定された泥質堆積物の堆積速度は約10~20cm/kyrと、沖縄トラフ底など周辺の他海域に比べてやや小さい。トカラ列島周辺海域は、陸源砕屑物の流入源となる陸地面積が小さい。また、有光層以浅での固着性生物生産も乏しい。これらにより、トカラ列島周辺海域は堆積物の流入量が比較的乏しい環境と考えられる。特に砂粒子サイズの堆積物の主要な供給流入源としては、海域に点在する島嶼および海底火山からの火山性物質の供給、海域北側に分布する堆積岩露頭からの再堆積、海洋表層での生物生産などが考えられる。
また、海丘や海脚などの地形的高まりを中心にして、岩盤の露出する海底や礫質堆積物、島嶼部の周辺水深300~700m程度の範囲にはリップルを示す砂質堆積物が広く分布する。移動・侵食域の地理・水深分布や、リップルが示す底層流方位の分布などから、トカラ列島周辺海域の堆積物は、本海域で蛇行し東シナ海から太平洋に抜ける黒潮の影響を受けていると考えられる。ただしその影響は島嶼部通過に伴う流速の増大や流向変化、乱流の形成を伴っていること、堆積物供給量が少なく低海水準期の底層流の痕跡も海底面に残存しうることから、非常に複雑な分布となっていると考えられる。
トカラ列島周辺海域には、北琉球と中琉球を分ける地形境界であるトカラ海峡が存在し、陸地面積としては僅かだが多数の火山島や海底火山が分布している。また、黒潮が東シナ海から島嶼部を通過し、太平洋に抜ける蛇行域でもあるなど地球科学的な研究課題を潜在的に多く有する海域である。しかし、陸地面積の少なさなどからこれまで詳細な海域地質調査は行われていなかった。
本海域で約10kmの解像度で取得した260点以上の堆積物試料・海底写真などのデータによると、トカラ列島周辺海域の堆積物は主に火山性砕屑物、生物源粒子から構成されている。また柱状採泥試料から推定された泥質堆積物の堆積速度は約10~20cm/kyrと、沖縄トラフ底など周辺の他海域に比べてやや小さい。トカラ列島周辺海域は、陸源砕屑物の流入源となる陸地面積が小さい。また、有光層以浅での固着性生物生産も乏しい。これらにより、トカラ列島周辺海域は堆積物の流入量が比較的乏しい環境と考えられる。特に砂粒子サイズの堆積物の主要な供給流入源としては、海域に点在する島嶼および海底火山からの火山性物質の供給、海域北側に分布する堆積岩露頭からの再堆積、海洋表層での生物生産などが考えられる。
また、海丘や海脚などの地形的高まりを中心にして、岩盤の露出する海底や礫質堆積物、島嶼部の周辺水深300~700m程度の範囲にはリップルを示す砂質堆積物が広く分布する。移動・侵食域の地理・水深分布や、リップルが示す底層流方位の分布などから、トカラ列島周辺海域の堆積物は、本海域で蛇行し東シナ海から太平洋に抜ける黒潮の影響を受けていると考えられる。ただしその影響は島嶼部通過に伴う流速の増大や流向変化、乱流の形成を伴っていること、堆積物供給量が少なく低海水準期の底層流の痕跡も海底面に残存しうることから、非常に複雑な分布となっていると考えられる。