[S-CG55] 変動帯ダイナミクス

[SCG55-14] 稠密地震観測による2024年能登半島地震前の発震機構の特徴と地震前応力場

*松本 聡¹、江本 賢太郎¹、太佐 駿吾²、酒井 慎一³ (1.九州大学大学院理学研究院附属地震火山観測研究センター、2.九州大学理学府、3.東京大学大学院情報学環)

キーワード：能登半島地震、発震機構解、稠密地震観測、応力場

2024年1月1日に発生した能登半島地震（M7.6）は大きな被害をもたらし、現在も活発な余震活動が続いている。この地震に先立ち、2020年から活発な群発地震活動が続き、2023年5月5日にM6.5が発生している。我々はこの地域に2022年8月から地震観測点6点を展開し、詳細な発震機構を求めるために観測を継続している。本研究ではM7.6発生前のデータを解析し、発震機構の特徴や応力場について検討する。得られた発震機構の特徴としてはおおむね逆断層の傾向を示している。一方で、メカニズム解のばらつきも大きい。震源域は半島に位置しているため、観測網のカバレージが悪く、詳細な発震機構を得ることが難しい。そこで、composite focal mechanismを領域に分けて推定した。その結果、北西―南東圧縮の傾向がよりはっきりとみられた。さらに、震源域西部においては西北西―南南東圧縮の傾向がみられ、応力場が変化していることが明らかになった。また浅部においてはM6.5前後で逆断層から横ずれ断層に変化しているように見られ、M6.5地震によって鉛直応力が強まった可能性がある。
以上のように得られた発震機構はM7.6発生前に不均質な応力場の存在を示唆しており、これが複雑な能登半島地震の破壊過程に影響を与えたと考えられる。
本研究では京都大学防災研、東京大学、気象庁、防災科研の観測点データを用いました。記して感謝の意を表します。