[S-EM12] Electric, magnetic and electromagnetic survey technologies and scientific achievements

[SEM12-P03] Group lassoを用いたスパースジョイントインバージョン

*宇津木 充¹ (1.京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設)

キーワード：磁気異常、重力異常、マルチデータ、マルチペナルティ、ジョイントインバージョン

地下構造探査に於いては、磁場や重力などの異なる観測量をもちいたjoint inversion手法が従来用いられてきた。特に近年では、計算機環境の進展によりこうした規模が大きくなりがちな問題についても計算が可能となり、cross gradient、fuzzy c-means、correspondence mapsなどといった解析方法を用いたmulti-data、 multi-parameterのjoint inversionが盛んに研究されている。これに対し本研究では、group lassoと呼ばれる正則化方法を導入したjoint inversion方法を提案する。group lassoとは、モデル要素をいくつかのグループ（クラスター）に分割できる場合に、そのグループに属す要素をまとめてゼロ、もしくは非ゼロの値を取るよう拘束を与える正則化法である。本研究の場合、各地下ブロックに割り当てられる密度、磁化、比抵抗といったモデル要素をグループにしてgroup lassoを適用する事を試みた。これにより、ブロックごとに全てのモデル要素が同時にゼロ、非ゼロの値をとるようになり、得られる各々の構造モデルが形の似通った相関の高いものとなる事が期待される。この方法を用いる利点としては、1.実装が容易、であること、に加え2. グループ効果に加えスパース性をモデルに同時に課すことが出来る、という事が挙げられる。特に1.については、本来非線形なgroup lassoのペナルティの最適化解が近接勾配法に依り解析的に求められるので、非常に簡単なコードで実装できる。2.については、これまでスパース性を導入した重力、磁気インバージョン法が盛んに研究されてきたが、group lassoペナルティはL1ノルムペナルティのベクトル版でありスパース正則化法の一種なので、その導入でスパースインバージョンの成果、恩恵をそのまま享受できることが期待される。本発表では計算方法の詳細に加え、シンセティックテスト及び北上帯の平庭深成岩で得られた重力・磁気異常データに適用した結果について紹介する。また、各ブロックの磁化の3成分をグループとしてgroup lassoを適用する事で3成分磁気インバージョンを試みた結果についても報告する。