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[SEM12-P18] 熊野灘における海底電磁場観測と海底地形を考慮した三次元比抵抗モデリング

キーワード:地磁気地電流法(MT法)、電磁探査、熊野灘
地震・津波の規模やそれに伴う被害状況は、プレート境界周辺での断層破壊がどこで始まり、破壊がどのように移動するかに依存する。これらの断層破壊には流体が影響していると示唆されており(Kodaira et al., 2004)、流体の分布を推定することは地震発生機構の解明に重要である。熊野灘は、1944年昭和東南海地震における主なすべり域であると考えられている海域である(例えば、Baba and Cummins, 2005; Kikuchi et al., 2003; Ichinose et al., 2003)。そのため、熊野灘において、地下の流体に感度の高い比抵抗構造を推定するために海底電磁探査が実施されている。熊野灘では、過去に電磁探査法の一つである地磁気地電流法(Magnetotelluric(MT) method)を用いた比抵抗構造の推定が1測線で行われた(木村ほか, 2005; Kasaya et al., 2005)。しかしながら、これらの研究によって得られたMTインピーダンスの精度は高くなく、また、TMモードのみを用いた二次元構造解析によって比抵抗構造が推定された。そのため、より精度の高い比抵抗構造モデルを推定する必要がある。そこで本研究では、熊野灘において新たに7地点で海底電磁探査を行った。この観測で得られた電磁場データから、BIRRP(Chave and Thomson, 2004)を用いてMTインピーダンスを推定した。次に、得られたMTインピーダンスの全成分を用いて三次元比抵抗構造モデリングをFEMTIC(Usui, 2015)により実施した。その結果、トラフ近傍の観測点で見られた周期2000秒付近の局所的な見掛比抵抗の高まりが計算できた。一方で、詳細な比抵抗構造の議論には、より細かな海底地形を考慮し、比抵抗構造の初期モデルを慎重に選択してモデリングを実施する必要がある。