[S-EM13] 地磁気・古地磁気・岩石磁気

[SEM13-03] 中国レス・古土壌試料を用いた土壌性magnetite/hematite生成の水熱実験

*兵頭 政幸¹、瀬戸 雄介²、ブラダック バラージュ³ (1.神戸大学　内海域環境教育研究センター、2.大坂公立大学　理学研究科地球学専攻、3.神戸大学　海事科学研究科)

キーワード：土壌性磁鉄鉱/赤鉄鉱、水熱実験、帯磁率、超常磁性

地球表面では岩石から砕屑物が形成され、水に接する環境下では造岩鉱物が水質変成して土壌が形成される。土壌化は湿潤環境下で促進される。したがって、土壌化の程度は降水量を反映する。古気候学の分野では、土壌化に伴い新規に磁性鉱物が生成されるため、帯磁率が土壌化の程度さらに過去の降水量の指標となることが知られている。しかしながら、その土壌化に伴う磁性鉱物生成のメカニズムは解明されていない。本研究では、そのメカニズムの解明を目指し、レス試料を用いて水熱実験を行った。水熱実験には、密閉型加圧反応容器を使用した。温度を200℃又は170℃で固定し、加熱時間を変えて水熱加熱を行った。加熱後の試料の帯磁率を測定し、振動試料型磁力計を使ったヒステリシス測定、等温残留磁化(IRM)獲得実験を行った。すべての試料が加熱後に帯磁率の増加を示すことを確認した。また、水熱実験後の試料の一部について磁気ヒステリシス測定とIRM獲得実験を行った。その結果以下のことが明らかになった。(1)加熱直後に大量の超常磁性(SP)のマグネタイトとヘマタイトが生成される。水熱加熱を終え自然乾燥した後常温で保存している間に(2)元々存在していたマグネタイト粒子がサイズを増加させる、(3)SPサイズのヘマタイト/マグネタイトから単磁区粒子(SD)サイズ以上のヘマタイト/マグネタイトが生成し続ける、(4)上記(1)～(3)により帯磁率及び帯磁率の周波数依存性に複雑な時間変化をもたらす。