日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM13] 地磁気・古地磁気・岩石磁気

2024年5月27日(月) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:臼井 洋一(金沢大学)、川村 紀子(海上保安大学校 基礎教育講座)

17:15 〜 18:45

[SEM13-P04] 地磁気強度を平均化するには何枚の溶岩流からデータが必要か?

*吉村 由多加1山崎 俊嗣2 (1.九州大学大学院比較社会文化研究院、2.東京大学大気海洋研究所)

キーワード:古地磁気強度、モンテカルロ法、平均古地磁気強度、白亜紀スーパークロン、PISO-1500

数千万年スケールの地磁気の逆転頻度と古地磁気強度の変動の関係性を知るためには、平均的な絶対古地磁気強度を推定するために強度データが何個必要なのかを調べる必要がある。本研究で我々は、過去150万年間の古地磁気強度標準曲線(PISO-1500)を真の地磁気変動と仮定して、これに対してモンテカルロ法を適用し、平均するために用いた強度データの個数と、その時正しく平均値が推定できる確率を調べた。具体的には、PISO-1500のブリュン正磁極期から1個の強度データをランダム抽出し、それらを平均し、その平均値がPISO-1500のブリュン正磁極期全体の平均値の±10%に含まれる確率を100万回繰り返した上で算出する。その後、ランダム抽出する個数を2個、3個、…、60個というように1個ずつ増加させ、各個数において同じ工程を繰り返した。結果として、正しく平均絶対古地磁気強度を推定できる確率を平均に用いた強度データの個数の関数として表現した。平均絶対古地磁気強度を推定する際に用いた溶岩流の枚数に応じた確率で平均絶対古地磁気強度に重み付けをすれば、その平均値の確からしさを議論することができる。本研究で推定した平均古地磁気強度と、先行研究で推定された過去2億年間の平均値に確率による重み付けを施してコンパイルしたところ、正しい平均値を推定できている確率が高い平均値は、過去2億年間の代表的な値と比較的近い値であることが分かった。しかし、約1億2000万年前〜8000万年前の地磁気が逆転しなかった時代(白亜紀スーパークロン)に含まれる約9000万年前の火山岩から得られた平均絶対古地磁気強度は、過去2億年間の平均値よりも大きかった可能性がある。