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[SEM13-P06] エチオピアアファール凹地の溶岩連続層による地磁気遷移期の古地球磁場変動の研究(予察)

キーワード:古地磁気強度、古地磁気方位、Tsunakawa-Shaw法、Afar Depression、Tendaho Graben、松山-ブルン地磁気逆転
地磁気逆転や地磁気エクスカーションにおける地球磁場変動の理解を深めるためには、古地磁気方位のみならず古地磁気強度の時間変化を復元することが重要である。地球磁場を連続的に記録している溶岩連続層は、絶対古地磁気強度や古地磁気方位の時間変化を復元する上で有用である。エチオピアにあるアファール凹地は、3つの拡大プレートの三重会合点にあり、海洋底拡大の様相を地上で見ることができる地域である。Tendaho Grabenは、紅海リフトがアファール凹地の中央まで伸びて形成された幅50㎞の地溝であり、北西-南東の走向をもつ正断層が卓越している。それらの正断層面には溶岩連続層が露出している。これまでの研究により、Tendaho Grabenの溶岩の年代や古地磁気方位が報告されている。また,我々のグループの研究により、Tendaho Grabenの中央部には正磁極,両端には逆磁極であることが明確になった。以上のデータに基くことで、77万年前の松山-ブルン逆転を記録している溶岩連続層を探索するための基礎データが揃った。そこで、2022年の調査で松山-ブルン地磁気逆転を記録した可能性がある溶岩連続層2セクション(Section 1: 18溶岩; Section 2: 10溶岩)を対象に試料採集を行った。また、Kidane et al. (2003)で報告されている60万年前のエクスカーションを対象に1セクション(Section 3: 5溶岩)の試料採集を行った。本研究では、Tendaho Grabenの溶岩連続層3セクションに対してTsunakawa-Shaw法による絶対古地磁気強度測定を始めた。Section1の18溶岩については各溶岩1試料程度の測定を行った結果、Unit 5-6間とUnit 10-11間でそれぞれ逆磁極―正磁極、正磁極―逆磁極の古地磁気方位の変動を示した。絶対古地磁気強度ではUnit 6-7とUnit 8-9で大きな増減を示した。Section 2およびSection 3については現在測定中である。今回の発表ではこれらの測定結果に基いて予察的な報告を行う。