17:15 〜 18:45
[SEM13-P09] 水路装置を用いた堆積実験による堆積条件と堆積物の粒子配向および初磁化率異方性との関係性の解析
キーワード:初磁化率異方性、粒子配向、人工堆積物、X線CT画像解析
堆積物の構成粒子の配向は堆積環境を示す一つの指標である.その粒子配向の解析には初磁化率異方性(AMS: Anisotropy of initial Magnetic Susceptibility)の測定が用いられてきた.これは磁性鉱物粒子の長軸とそのAMS楕円体の長軸が一致するという一般的な特徴に基づいている.しかしAMSと粒子配向との類似性,堆積条件とそれらの方向性との関係について詳細に示した研究例はあまりない.そこで本研究では堆積環境(水理条件),粒子配向,AMSの関係性をより詳細に解明するため,実験水路を用い,水理条件を制御して人工的な堆積物を作成し,それから採取した試料に対してX線CT画像解析による構成粒子の配向の解析とカッパーブリッジKLY-3S磁化率計によるAMSの測定を行なった.
実験には富山市岩瀬浜で採取した砂を用いた.粒径分布は粗粒砂が約28 %(重量),中粒砂が約60%,細粒砂が約11%であり,構成粒子は石英31%(個数),斜長石32%,岩片33%である.岩石磁気学的解析から含まれる主要な強磁性鉱物は多磁区〜擬似単磁区サイズのマグネタイトとチタノマグネタイト (x=0.1程度)であり,初磁化率の約99%を担っていると推定される.堆積実験には水路装置を用い,異なる流量と水路勾配を設定して8実験を行なった.水理条件を示す指標として,砂の運搬・堆積に影響する無次元掃流力τ*を用い,設定した流量と水路勾配,測定した水深と堆積面勾配から算出した.本研究の8実験ではτ*は 0.12~0.32の範囲であった.各実験において7ccプラスチックキューブ(2 cm角)を用いて9試料を採取した.粒子配向解析は,X線CT画像解析から画像解析ソフトImage Jを用いて行なった.認識された粒子を楕円体として近似し,楕円体の平均粒径1.25mm〜2.0mmの粒子を対象にして,その方向性から1キューブ試料での平均粒子楕円体を求めた.AMS解析から1キューブ試料でのAMS楕円体を求めた.
全ての実験において9試料の平均粒子楕円体とAMS楕円体の平均的な方向性は類似し,平均粒子楕円体の長軸とAMS楕円体の最大軸は流れと平行な方向を向いて上流側に傾く傾向が認められる.ただし,AMS楕円体の方が最大軸のばらつきはより小さく,その傾きはより深い傾向が認められる.堆積時の流向を推定するという観点においては AMS解析は有効であることは確認された.τ*の増加に伴う方向性の変化としてある値(約0.2)を境に平均粒子楕円体およびAMS楕円体は長軸・最大軸が上流側に傾く傾向が強まることが示唆された.各実験での平均のAMS楕円体と平均粒子楕円体の異方性度合いにおいて,τ*の増加に伴いAMS楕円体のPjはあるτ*値(約0.2)まで増加し,それ以上では変化しない傾向が認められた.AMSのPjが堆積時の水理条件を推定する定量的な指標になる可能性が示唆された.一方,平均粒子楕円体においてはAMS楕円体とは逆の異方性度合いの変化が認められた.本研究の試料においては堆積条件に対する応答(配向およびその度合い)に関して,AMSに主に寄与している粒子とその他多数の粒子とでは違いがあることが示唆された.
実験には富山市岩瀬浜で採取した砂を用いた.粒径分布は粗粒砂が約28 %(重量),中粒砂が約60%,細粒砂が約11%であり,構成粒子は石英31%(個数),斜長石32%,岩片33%である.岩石磁気学的解析から含まれる主要な強磁性鉱物は多磁区〜擬似単磁区サイズのマグネタイトとチタノマグネタイト (x=0.1程度)であり,初磁化率の約99%を担っていると推定される.堆積実験には水路装置を用い,異なる流量と水路勾配を設定して8実験を行なった.水理条件を示す指標として,砂の運搬・堆積に影響する無次元掃流力τ*を用い,設定した流量と水路勾配,測定した水深と堆積面勾配から算出した.本研究の8実験ではτ*は 0.12~0.32の範囲であった.各実験において7ccプラスチックキューブ(2 cm角)を用いて9試料を採取した.粒子配向解析は,X線CT画像解析から画像解析ソフトImage Jを用いて行なった.認識された粒子を楕円体として近似し,楕円体の平均粒径1.25mm〜2.0mmの粒子を対象にして,その方向性から1キューブ試料での平均粒子楕円体を求めた.AMS解析から1キューブ試料でのAMS楕円体を求めた.
全ての実験において9試料の平均粒子楕円体とAMS楕円体の平均的な方向性は類似し,平均粒子楕円体の長軸とAMS楕円体の最大軸は流れと平行な方向を向いて上流側に傾く傾向が認められる.ただし,AMS楕円体の方が最大軸のばらつきはより小さく,その傾きはより深い傾向が認められる.堆積時の流向を推定するという観点においては AMS解析は有効であることは確認された.τ*の増加に伴う方向性の変化としてある値(約0.2)を境に平均粒子楕円体およびAMS楕円体は長軸・最大軸が上流側に傾く傾向が強まることが示唆された.各実験での平均のAMS楕円体と平均粒子楕円体の異方性度合いにおいて,τ*の増加に伴いAMS楕円体のPjはあるτ*値(約0.2)まで増加し,それ以上では変化しない傾向が認められた.AMSのPjが堆積時の水理条件を推定する定量的な指標になる可能性が示唆された.一方,平均粒子楕円体においてはAMS楕円体とは逆の異方性度合いの変化が認められた.本研究の試料においては堆積条件に対する応答(配向およびその度合い)に関して,AMSに主に寄与している粒子とその他多数の粒子とでは違いがあることが示唆された.