17:15 〜 18:45
[SEM13-P10] 鹿児島県池田湖の湖底極表層堆積物の磁気特性
キーワード:磁気特性、湖底堆積物
環境磁気学では、堆積物に対し、岩石磁気学的手法を用いて磁気特性を調査し、その深度方向の変化を通じて地球表層の環境変動を解析する研究が行われている。これは、堆積物中の含有磁性鉱物の存在形態(種類,構成,量,粒径)が堆積物の堆積時に関与するプロセスの影響を受け変動することに基づいている。一方、堆積後に堆積物表層で起こる初期続成作用により磁性鉱物の存在形態は初生的な状態から改変される。よって、初期続成作用による含有磁性鉱物の存在形態の変化の様相を理解することが、堆積物の磁気的特性による環境変動解析を行う際に重要である。
鹿児島県池田湖では数年に1度湖底に酸素が供給される全層循環が起こるため、湖底では溶存酸素濃度が少ない貧酸素状態が長く続く。よって、池田湖の溶存酸素濃度が異なる時期の堆積物について磁気特性解析を行い、含有磁性鉱物の存在形態を比較することにより、初期続成作用の制御要因である溶存酸素濃度に着目し、初期続成作用による二次的な含有磁性鉱物の存在形態の変化の様相を明らかにできる可能性がある。そこで本研究では、全層循環が起こって約5ヶ月後に採取された湖底表層堆積物のコア試料(20cm長)に対し岩石磁気学的解析を行い、含有磁性鉱物の存在形態を把握することを試みた。岩石磁気学的解析として,交番力磁力計(AGM)を用いた磁気ヒステリシス測定と直流磁場消磁実験を行なった.また,含有強磁性鉱物の推定のために6Kで着磁した等温残留磁化のZFC法による熱消磁実験と熱磁気分析(室温〜620°C)を行った.
実験の結果、含有強磁性鉱物はチタノマグネタイト(x=0.1程度)とマグヘマイト化したマグネタイトであり、その含有量と磁気的粒径に深度方向の変化が認められた.磁気的粒径の変化から,A層(深度0~1cm),B層(深度1~7cm),C層(深度7~10cm),D層(深度11~16cm),E層(深度16cm以深)の5つの層に区分でき,強磁性鉱物の含有量にそれに呼応した変動が認められた.磁気特性から初期続成作用による存在形態の変化は認められず,5つの層は岩相によく対応した.磁気的粒径が最も粗いC層は8-10 cm深の極細粒砂~細粒砂の層準とその直上の層準に対応し,磁気的粒径が最も細かいA,E層はシルト層に対応した.よって鹿児島県池田湖の湖底堆積物は,堆積時の初生的な情報を主に反映しており,深部から表層への時間的な変動としてみると,堆積物の供給源は変化せず,E-D層間で粗粒化と量の増加が起き,更に粗粒な強磁性鉱物が大量に供給される時期(C層)を経てから現在に向けて量の減少と細粒化を起こさせる供給プロセスに関わる変動があったと考えられる.C層は細粒砂が混じる層準があり,磁気特性的には強磁性鉱物の量が多く,磁気的粒径が粗粒である磁気特性的に特徴的な層であるため,池田湖でのあるイベントで堆積した堆積物であることが考えられる.
鹿児島県池田湖では数年に1度湖底に酸素が供給される全層循環が起こるため、湖底では溶存酸素濃度が少ない貧酸素状態が長く続く。よって、池田湖の溶存酸素濃度が異なる時期の堆積物について磁気特性解析を行い、含有磁性鉱物の存在形態を比較することにより、初期続成作用の制御要因である溶存酸素濃度に着目し、初期続成作用による二次的な含有磁性鉱物の存在形態の変化の様相を明らかにできる可能性がある。そこで本研究では、全層循環が起こって約5ヶ月後に採取された湖底表層堆積物のコア試料(20cm長)に対し岩石磁気学的解析を行い、含有磁性鉱物の存在形態を把握することを試みた。岩石磁気学的解析として,交番力磁力計(AGM)を用いた磁気ヒステリシス測定と直流磁場消磁実験を行なった.また,含有強磁性鉱物の推定のために6Kで着磁した等温残留磁化のZFC法による熱消磁実験と熱磁気分析(室温〜620°C)を行った.
実験の結果、含有強磁性鉱物はチタノマグネタイト(x=0.1程度)とマグヘマイト化したマグネタイトであり、その含有量と磁気的粒径に深度方向の変化が認められた.磁気的粒径の変化から,A層(深度0~1cm),B層(深度1~7cm),C層(深度7~10cm),D層(深度11~16cm),E層(深度16cm以深)の5つの層に区分でき,強磁性鉱物の含有量にそれに呼応した変動が認められた.磁気特性から初期続成作用による存在形態の変化は認められず,5つの層は岩相によく対応した.磁気的粒径が最も粗いC層は8-10 cm深の極細粒砂~細粒砂の層準とその直上の層準に対応し,磁気的粒径が最も細かいA,E層はシルト層に対応した.よって鹿児島県池田湖の湖底堆積物は,堆積時の初生的な情報を主に反映しており,深部から表層への時間的な変動としてみると,堆積物の供給源は変化せず,E-D層間で粗粒化と量の増加が起き,更に粗粒な強磁性鉱物が大量に供給される時期(C層)を経てから現在に向けて量の減少と細粒化を起こさせる供給プロセスに関わる変動があったと考えられる.C層は細粒砂が混じる層準があり,磁気特性的には強磁性鉱物の量が多く,磁気的粒径が粗粒である磁気特性的に特徴的な層であるため,池田湖でのあるイベントで堆積した堆積物であることが考えられる.