日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD01] 測地学・GGOS

2024年5月30日(木) 13:45 〜 15:00 303 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:松尾 功二(国土地理院)、横田 裕輔(東京大学生産技術研究所)、三井 雄太(静岡大学理学部地球科学科)、座長:鷺谷 威(名古屋大学減災連携研究センター)、松尾 功二(国土地理院)

14:30 〜 14:45

[SGD01-04] 日本における測地連携の強化 GGOS Japan ー国際測地コミュニティへの入り口-

*宮原 伐折羅1大坪 俊通2横田 裕輔3、栗原 忍1、小門 研亮1中村 優斗4瀧口 博士5松尾 功二1青山 雄一6 (1.国土交通省国土地理院、2.一橋大学、3.東京大学生産研究所、4.海上保安庁海洋情報部、5.宇宙開発研究機構、6.国立極地研究所)

キーワード:全球統合測地観測システム、GGOS、GGOS Japan、宇宙測地技術

全球統合測地観測システム(GGOS)は、地球システムの観測,監視に対してグローバル測地コミュニティが貢献を行う枠組みである。測地観測・プロダクツは、科学・社会に対して測地学の価値を届ける鍵であり,GGOSは、測地観測・プロダクツに関する促進・強化を行うための第一の連携場所として役割を果たすために、測地学内外の関係者と密に連携してきた。GGOSの役割の一つは、これらの関係者との連携を促進することである。GGOSアフィリエートは、国や地域の関係者間で測地連携、コミュニケーションを強化するためのGGOSの構成要素で、GGOS Japanは、日本での測地連携を強化するために”GGOS作業部会“として2013年に設立された第1番目のGGOSアフィリエートである。本発表では10年を超えるGGOS Japanの活動を包括的に紹介する。
日本、そして南極では、日本の6つの国の組織がVLBI、SLRを備えた大規模な測地施設を運用してきているが、これらの組織は、それぞれの測地事業に各々独立に参加してきた。そこで、2013年、日本の機関同士のコミュニケーションを強化し、各々の技術を超えた連携を推奨するために、日本におけるGGOS作業部会を設立した。
GGOS Japanは、基本的にはゆるやかな連携の枠組みであるが、議長、幹事、アウトリーチ担当、作業部会長(現在はデータDOI作業部会が活動中)、各技術代表(VLBI、SLR/LLR、GNSS、DORIS、重力)を備えている。毎年、年次会合を開催し、重点的なテーマに関する会合を開催することもある。国内学会、国際学会での科学セッションの企画、支援も行うとともに、2013年の国際レーザ測距ワークショップや2024年のIVS総会など、日本で測地学の国際会議のホストも行っている。
この10年間を通して、この枠組み、GGOS作業部会は、2017年にGGOSアフィリエートとして位置づけられ、2019年には、GGOS Japanに名称を改めた。2019年には、宮原がGGOS議長に選出された(2023年7月に退任)。GGOS Japanのウェブページは、GGOS本体のウェブサイト(https://ggos.org/)のもとで運用されており、GGOS Japanは、GGOS Youtubeチャンネルでのローカルタイ観測動画、”GGOSと測地学を知る“動画の日本語版、“地球基準座標系 -測地学が世界をつなぐ”動画の日本語版の作成など、測地学のアウトリーチにも参加している。
GGOS Japanは、重点的な活動も行っている。現在、運用の観点からITRF2020のレビューを行い、日本における将来のGGOSコアサイトの最適な設置場所を検討している。測地データのDOIも重点分野で、日本で測地データにDOIを付与する持続可能な方法について議論するために、GGOSのDOI委員会のKirsten Elger議長を2024年3月の国立極地研究所でのDOIワークショップに招待した。
2023年の年次会合では、GGOS Japanがコミュニティに提供した成果についてアンケートを実施し、以下が挙げられた。1)日本のコミュニティでの相互理解・コミュニケーションの強化、2)メンバーの所属組織、親組織への良いアピール、3)若手研究者の参加、4)国際的な課題に関する日本語での議論、5)国際測地コミュニティへの入り口。
GGOS Japanでは、国内の科学コミュニティとの連携の拡大、国際的な測地コミュニティとの連携を模索しており、特に他のGGOSアフィリエートを重点としている。