日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD02] 地殻変動

2024年5月31日(金) 15:30 〜 16:45 303 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:富田 史章(東北大学災害科学国際研究所)、加納 将行(東北大学理学研究科)、野田 朱美(気象庁気象研究所)、姫松 裕志(国土地理院)、座長:岡崎 智久(理化学研究所革新知能統合研究センター)、田中 優作(早稲田大学教育・総合科学学術院)

16:30 〜 16:45

[SGD02-10] 2018年フィジー深発地震の地震波・地殻変動・重力変化の関係

*田中 優作1 (1.早稲田大学教育・総合科学学術院)

キーワード:2018年フィジー深発地震、地震時の重力変化、地殻変動

オーストラリアの東 3000 km 程度の地点に存在するフィジー諸島近辺において2018年8月19日に発生したフィジー深発地震(Mw8.2)は、地震波形を利用した研究が主に行われており、いくつかの論文の中ではその物理プロセスが議論され、断層モデルが提案されている(e.g., Jia et al., 2020)。また、地震波以外のデータを利用した報告としては、現状、2023年に報告された重力観測のデータを用いた Tanaka (2023) と、地殻変動のデータを用いた Park et al. (2023) が存在する。

Tanaka (2023) は本発表者の報告であり、この論文は、フィジー深発地震に伴う重力変化が重力観測衛星 GRACE 及び GRACE-FO のデータ解析によって検出されたことを示したものである。また、Park et al. (2023) は、地震が発生した海域に点在する島々の GNSS データを利用して地震時と地震後の地殻変動を調査し、特に地震後の地殻変動の情報から地下の粘性構造を推定したという報告である。

本講演では、2018年フィジー深発地震の地震波・重力・地殻変動の研究報告をメタ的に概観し、地震波形のデータから見積もられた断層モデルでは観測された重力変化を説明するのが難しいことと、逆に重力変化から見積もられた断層モデルは GNSS データから検出された地殻変動の情報と整合的であるが、重力観測のデータとGNSSのデータにはそれぞれ時間分解能と空間分解能の問題があることを示す。そして、それらのことから、2018年フィジー深発地震には更に研究する余地が存在していることを述べる。