[S-GD02] 地殻変動

[SGD02-P02] 琉球海溝，南琉球ブロックにおけるSSE検出の試み

*畔蒜 尚幸¹、大久保 慎人² (1.高知大学 理工学部、2.高知大学 教育研究部自然科学系理工学部門)

キーワード：GNSS、GEONET

スロー地震とは，プレート境界面上の安定すべりと不安定すべりの遷移領域で発生する非地震性のすべりであり，世界各地での発生が指摘されている(Obara&Kato.,2016)．スロー地震の中でも,測地学的な周期帯域にシグナルを持つものはスロースリップイベント(以下:SSE)と呼ばれ，日本では，日本海溝，南海トラフ，琉球海溝(Heki&Kataoka.,2008)などで発生している．琉球海溝におけるGNSSを用いたSSE検出に関する既往研究は，主にGEONET観測点のF3解が多く使用されてきた．しかし，F3解の提供は2022年3月で終了しており,　過去から将来の解析にはF5解が必要である．また，F5解を使用した琉球海溝における，SSEの検出の事例研究は少ない．

本研究では琉球海溝においてF5解の時系列データを用いて, F3解の時系列データとの比較と長期間の時系列変動解析を行った. 琉球海溝，南琉球ブロック８つのGEONET観測点，与那国，西表島，多良間，石垣1，石垣２，波照間島，伊良部，城辺(0498)の1997年4月から2023年8月までのF5解，2022年3月までのF3解の座標値を使用した．初めに，国土地理院が公開している，F3解，F5解のオフセット推定補正量データをもとにオフセット補正を行った．南琉球ブロックにおいて固定点とみなせる城辺(c.f.Heki&Kataoka.,2008)と各７つの観測点との基線長変動を地心座標系で求めた．次に，座標変換を行い，緯度経度方向の変動とした．その後，求めた基線長変動の東西，南北，上下成分からプレート運動に伴う線形トレンドと天体運動に伴う年周等を取り除くフィッティングを行った．その後，21日の移動中央値法を使用して，日次の飛び値を取り除いた．このような処理を行った基線長変動からHeki&Kataoka.,(2008)，Nishimura.,(2014)に倣い,プレートの沈み込み方向(N20°W)の運動に変換しSSEの検出を試みた.

本発表では，琉球海溝におけるF5解によるSSE検出結果とF3解とF5解の比較などを報告する．