[S-GD02] 地殻変動

[SGD02-P07] 活断層データを用いた日本列島の長期変形分布の推定

*玉置 あい¹、鷺谷 威¹ (1.国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学)

キーワード：活断層、地殻変動、歪み

プレート境界に位置する日本列島ではプレート運動やプレートの固着、地震や火山によって複雑に地殻変動が起きている。現在、地殻の変形は弾性的な変形と非弾性的な変形によって構成されていると考えられている。弾性的な変形は地震の発生に伴って蓄積と解消を繰り返しているのに対して、非弾性的な変形は地震の発生で歪みを解消せずに蓄積し、長い時間をかけて地形を形成する。
活断層は非弾性変形の結果として現れており、Wesnousky et al.(1982)やShen Tu et al.(1995)では活断層データを用いて歪み速度が求められた。一方で現在ではGNSS観測の整備がなされており、2011年の東北地方太平洋沖地震発生前後の観測がされている。Meneses-Gutierrez and Sagiya(2016)はGNSS観測から局在的な非弾性変形を検出した。現在行われている研究に対して、既存研究の活断層データによる歪み速度の分布は扱うデータが古いことに加え空間分解能が不十分であり比較することが難しい。 本研究では、最新の活断層のデータを用いて日本列島の長期的な歪み速度を十分な空間分解能で求め、非弾性歪みの分布について考察する。本研究では産業技術総合研究所の活断層データベースより活断層の位置や走向・傾斜、断層型、平均変位速度といったデータを使用した。日本列島に等間隔の格子点を設定し、格子点に各断層の与える速度を与え、格子点の変位速度から小領域ごとの歪み速度を算出した。小領域の歪み速度を用いて、さらに広い領域において平均化することで既存研究の結果と比較し考察をした。今後は日本の段丘地形なども考慮するなどさらなる検討が必要である。