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[SGL18-07] 岩相ごとの化学組成データの対数分布に基づく、日本列島地質の化学的特徴
キーワード:日本列島、化学的特徴、対数正規分布、地質分布
大陸地殻の構造と形成過程は、化学、物理研究の両面から古くから注目されてきた。また、大陸地殻の化学組成は当時の地殻の形成過程を反映するものであり、年代測定とともに岩石学、化学データの時空分布が検討され、組成変化とその地球化学的起源が検討されている。その中で、原生代以降の大陸地殻の成長は、大陸縁辺部に形成された「変動帯」で起こっており、日本列島はそのような変動帯の例で、その地質、岩石およびそれらの化学組成は、どのように島弧ひいては大陸が成長するかを読み解く鍵になりうる。日本列島は少なくとも古生代以降大陸(南中国、北中国地塊)縁辺の収束帯に位置しており、地質構造発達史が古くから研究されてきたフィールドでもあり、これまでの研究により明らかになった日本列島の成長過程は、大陸地殻の特に顕生代の成長を考える上で注目されている。また、実際に日本列島の基盤を構成する岩石についての化学組成や物性データも多く発表されていることから、日本列島は地殻形成の理解に適したフィールドであると言える。日本列島の地質発達の結果としての「地質構成比」と「平均化学組成」は、これまでに多くの研究がなされてきたが、「地質区分」とそれに対応する「各構成要素の平均化学組成」の見積もりは今なお課題となっている。本報告では、地質構成要素と化学データに地質調査総合センターの「シームレス地質図」と「DODAIデータベース」を用い、岩相区分およびその化学的特徴、地域性との関連を、統計値および大規模データ解析から検討する。
これまでの報告(連合大会2023, MGI29-P05等)で、岩相区分、化学データの地理的分布と、岩相ごとの化学組成分布について報告してきたが、その中で、各岩相に区分される化学データの粗密、化学データを統計処理するにあたっての問題等を課題として取り上げた。特に岩石の化学組成は、マグマ分化過程による液相濃集元素の濃集等により、特定の元素が極めて高濃度を示すことがあり、この「高濃度のデータの存在」の影響を考えなければならないこと、多くの元素は濃度が「0」付近にデータ分布のピークがあり、高濃度に向けて単調に減少する分布を示すのに対して、各種の統計値は「正規分布」を前提にするため、数値の位置付けに疑問が出ること等の問題がある。今回、濃度の「対数」をとることにより、これらの問題に対処した。対数を取ることにより、真数では0から単調減少する分布を示す元素の多くが正規分布的なデータ分布を示し、また、極めて高濃度のデータも一括して統計処理できるようになった。本報告では、対数を用いた日本列島の平均化学組成の特徴を先行研究および世界各地の地殻平均組成データと比較し、データの特徴および東北、西南日本の地質構造発達史の中での位置付け等紹介したい。
シームレス地質図に基づく岩質ごとの面積比算出にあたり、ご協力いただいた産総研・西岡芳晴氏に感謝いたします。
これまでの報告(連合大会2023, MGI29-P05等)で、岩相区分、化学データの地理的分布と、岩相ごとの化学組成分布について報告してきたが、その中で、各岩相に区分される化学データの粗密、化学データを統計処理するにあたっての問題等を課題として取り上げた。特に岩石の化学組成は、マグマ分化過程による液相濃集元素の濃集等により、特定の元素が極めて高濃度を示すことがあり、この「高濃度のデータの存在」の影響を考えなければならないこと、多くの元素は濃度が「0」付近にデータ分布のピークがあり、高濃度に向けて単調に減少する分布を示すのに対して、各種の統計値は「正規分布」を前提にするため、数値の位置付けに疑問が出ること等の問題がある。今回、濃度の「対数」をとることにより、これらの問題に対処した。対数を取ることにより、真数では0から単調減少する分布を示す元素の多くが正規分布的なデータ分布を示し、また、極めて高濃度のデータも一括して統計処理できるようになった。本報告では、対数を用いた日本列島の平均化学組成の特徴を先行研究および世界各地の地殻平均組成データと比較し、データの特徴および東北、西南日本の地質構造発達史の中での位置付け等紹介したい。
シームレス地質図に基づく岩質ごとの面積比算出にあたり、ご協力いただいた産総研・西岡芳晴氏に感謝いたします。