日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GL 地質学

[S-GL19] 年代層序単元境界の研究最前線

2024年5月28日(火) 10:45 〜 12:00 202 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:星 博幸(愛知教育大学自然科学系)、高嶋 礼詩(東北大学総合学術博物館)、黒田 潤一郎(東京大学大気海洋研究所 海洋底科学部門)、岡田 誠(茨城大学理学部理学科)、座長:高嶋 礼詩(東北大学総合学術博物館)、星 博幸(愛知教育大学自然科学系)

10:45 〜 11:00

[SGL19-01] ミラコビッチサイクルと放射年代による地質時代境界の高時間解像度環境動態解析

★招待講演

*池田 昌之1倉本 和佳1佐久間 杏樹1遠嶋 美月1仁木 創太1上倉 寛紀1宮田 理央1泉 賢太郎2 (1.東京大学、2.千葉大学)

キーワード:地質時代境界、ミランコビッチサイクル、放射年代、絶滅、三畳紀、ジュラ紀

地質時代境界は主に化石の出現ないし絶滅によって定められ、近年では様々な層序学的手法によって高精度化されている。絶滅の要因として、火山活動や天体衝突が提唱されているが、このようなイベントで説明できるのは10回程度で、時代境界イベントの要因の多くは議論が続いている。

要因解明で重要なのは年代解像度の向上であり、放射年代測定とミランコビッチサイクルを用いた天文年代学によって時間分解能は飛躍的に向上した。ミランコビッチサイクルは、地球軌道要素の準周期的変化に伴う日射分布変化で、これが氷期サイクルなど~10万年スケールでの大規模環境変化のペースメーカーであることが広く受け入れられている(Hays et al., 1976 Science)。日射はさらに長周期でも変化し、生物多様性や絶滅など生態系に影響することも明らかになった(van Dam et al.,, 2005 Nature; Ikeda et al., 2020).

本発表では、天文年代層序と絶対年代測定を組み合わせることで、地質時代境界年代を高精度化すると共に、境界イベントにミランコビッチサイクルが与えた影響について新生代鮮新世-更新世と中生代三畳紀-ジュラ紀を中心に紹介する。