日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GL 地質学

[S-GL19] 年代層序単元境界の研究最前線

2024年5月28日(火) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:星 博幸(愛知教育大学自然科学系)、高嶋 礼詩(東北大学総合学術博物館)、黒田 潤一郎(東京大学大気海洋研究所 海洋底科学部門)、岡田 誠(茨城大学理学部理学科)

17:15 〜 18:45

[SGL19-P04] 房総半島南端に分布する海成層の第四系基底部における定方位ボーリングコアを用いた古地磁気−酸素同位体複合層序

柚原 涼花1、*岡田 誠1長友 大輝1菅沼 悠介2 (1.茨城大学理学部理学科、2.国立極地研究所)

キーワード:第四系基底境界、ガウスー松山地磁気逆転境界、房総半島

本研究では,第四系基底境界の目安となっているガウス−松山地磁気逆転境界(G-M境界)の詳細な古地磁気記録を得るために,2021年5月〜6月にかけて千倉層群の第四系基底部付近において定方位ボーリングを実施した.その結果,51mにわたるほぼ欠落のない砂岩−シルト岩互層からなるコアを採取することができた.高知大学海洋コア国際研究所においてコアの切断や非破壊計測を行った後,層厚間隔約1mで有孔虫抽出用試料を採取し,古地磁気測定用として1辺2cmの立方体試料の連続サンプリングを試みた.さらに,二次磁化を完全に取り除くことでG-M境界における詳細な磁場変動の復元を行うため,Konishi and Okada (2020)によって千倉層群で有効性が確認された熱消磁と段階交流消磁の組合せによるハイブリッド消磁を,同研究所設置のパススルー型超伝導磁力計および熱消磁用電気炉を用いて実施した.
これまで得られた予察的な古地磁気測定によると,深度10m付近の層準でG-M境界を示すVGP(見かけの磁極)の赤道付近の通過とRPIの極小が確認された.また同時に行った10Beの測定より,宇宙線強度の極大を示す10Be/9Beのピーク位置がRPI極小付近で確認された.底生有孔虫の酸素同位体測定により,本コアはMIS102-G3をカバーすることと,G-M境界はMIS 103に位置することが確認された.今後,G-M境界付近における連続的な古地磁気および,酸素同位体などの環境指標の測定をさらに進めることで,第四系基底境界付近における国際的な年代層序確立に寄与することが期待される.
References
Konishi and Okada (2020): doi.org/10.1186/s40645-020-00352-0