日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-MP 岩石学・鉱物学

[S-MP24] 変形岩・変成岩とテクトニクス

2024年5月30日(木) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:中村 佳博(国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター)、永冶 方敬(東京学芸大学)、針金 由美子(産業技術総合研究所)、山岡 健(国立研究開発法人産業技術総合研究所)

17:15 〜 18:45

[SMP24-P05] カンラン石粒界すべりの異方性

*吉松 彩1平賀 岳彦2 (1.東京大学大学院、2.東京大学地震研究所)

上部マントルで観測される地震波速度異方性は、主要鉱物であるカンラン石の結晶軸選択配向(CPO:Crystallographic preferred orientation)が主な原因である。マントル対流下のカンラン石CPOタイプのうち最も一般的であるのはA-typeであり、カンラン石の[100]軸がせん断方向、[010]軸が圧縮方向にそれぞれ配向する。A-typeはカンラン石単結晶の主すべり系と整合的な配向であることから、これまでカンラン石のCPOは転位クリープ下で発達するとされてきたが、Miyazaki et al. (2013)は拡散クリープ下でのCPO発達を実験的に示し、結晶学的に制御された粒界すべりが重要である可能性を示唆した。本研究では、拡散クリープ下での粒界すべりが結晶学的に制御された異方性を有するかを実験的により検証し、A-typeの発達への粒界すべりの寄与を検討する。
実験試料はKoizumi et al. (2010)に従い合成した、カンラン石(フォルステライト)を90 vol %、単斜輝石(ダイオプサイド)を10 vol %含む多結晶体である。この多結晶体試料をKim et al. (2022)に従って単純せん断実験しA-typeを発達させたのち、カンラン石の(010)面が垂直方向と45度方向に集中するような角柱を切り出す。この角柱を一軸圧縮したのち、試料表面を原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)で観察した。その結果1粒子ごとの表面の凹凸および傾斜が確認され、変形中に活発な粒界すべり及びそれに起因した粒子回転があることがわかった。これにより粒子回転を粒界すべりの方向に分けて解析できることを示せた。