日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-MP 岩石学・鉱物学

[S-MP24] 変形岩・変成岩とテクトニクス

2024年5月30日(木) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:中村 佳博(国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター)、永冶 方敬(東京学芸大学)、針金 由美子(産業技術総合研究所)、山岡 健(国立研究開発法人産業技術総合研究所)

17:15 〜 18:45

[SMP24-P14] 低圧条件下におけるダイヤモンドアンビルセルの圧力校正手法の検証

*山川 桃佳1纐纈 佑衣1小野 重明2荻野 竣右1 (1.名古屋大学大学院環境学研究科(岩鉱)、2.海洋研究開発機構)

キーワード:ダイヤモンドアンビルセル、ラマンスペクトル、ダイヤモンドアンビルラマン圧力計、石英ラマン圧力計、ルビー蛍光

数ギガパスカル程度の低圧条件下におけるダイヤモンドアンビルセル実験用のラマン圧力センサーとして,石英とダイヤモンドアンビルのラマンシフトを検証した.先行研究[1]において石英のラマンシフトは低圧条件下で校正されているが,ピーク強度が小さく,2 GPa 程度でコース石への相転移が起こるため,使用できる圧力条件に制限がある.一方,ダイヤモンドアンビルはラマンピーク強度が大きいというメリットがあるが,アンビル内の圧力勾配が存在するため,高波数端を用いた校正方法が採用されているが,高波数端が明瞭でない低圧条件下での解析方法は確立されていない.
実験では,石英とルビーの粉末をレニウムガスケットに詰め,圧力媒体として水・エタノール混合溶液を封入した.圧力はルビー蛍光の波長シフト[2]から決定し,200 MPaから1500 MPaの範囲において,7つの異なる圧力条件でDAC実験を行った.ダイヤモンドアンビルの高波数端の定義は,設定するピークの数を変えたり微分値を取るなど,複数の候補を検討した.
その結果,石英の464 cm-1ピークシフトは,圧力と直線的な関係が観測され,先行研究[1]の関係式とよく一致した.また,464 cm-1と206 cm-1のピーク間距離を使用した式[3]ともよく一致したが,206 cm-1ピークが不明瞭になることがあるため,誤差が最大で±200 MPaになった.ダイヤモンドアンビルの高波数端の圧力校正式は二次曲線で表され,誤差は200~300 MPaとなった.推定圧力の誤差が比較的大きい理由は,室温の変化によるラマンピーク位置のドリフトの影響と考えられたため,計測毎にピークシフトを校正する方法が有効であると考えられる.
[1] Schmidt & Ziemann (2000), [2] Piermarini et al. (1975), [3] Tomioka et al. (2022)