[S-SS05] 地震発生の物理・断層のレオロジー

[SSS05-P21] 三軸試験機への直接剪断機構の導入：珪質堆積物のslide-hold-slideテストの例

*奥田 花也¹、吉岡 純平² (1.海洋研究開発機構 高知コア研究所、2.東京大学 大気海洋研究所)

キーワード：摩擦実験、珪質堆積物、地震

三軸試験機におけるガウジを用いた摩擦試験は多くの場合、円柱に斜めに切れ込みをいれたプレカットピストンの間にガウジ試料を挟んで行われる。このプレカット型の場合、封圧および軸圧の効果によって高い応力をガウジにかけることができ、また試料の長さも比較的小さくできる。一方で封圧が一定の場合にはガウジにかかる垂直応力が一定でないために、摩擦係数の速度依存性など垂直応力自体や垂直応力の変化に影響をうけるパラメータの推定に不確実性が残る。また変位が大きく稼げない、軸変位に対し試料の圧密と剪断が分離できない、などの問題がある。
これらの問題について一定の解決をもたらす手段の一つが直接剪断機構である。古くはHoskins et al. (1968)やLogan et al. (1992)などで原型が提案されているが、近年世界中の実験室で積極的に導入が進んできた(e.g., Samuelson & Spiers, 2012; Sánchez-Roa et al., 2016)。直接剪断機構は封圧が垂直応力に一致し、変形に伴う垂直応力の変化がない。また軸載荷と変形の向きが同じであるため、軸変位によるガウジの圧密が起こらず、変形に対する剪断応力の測定がより精密に可能である。海洋研究開発機構高知コア研究所でも既設の油圧三軸試験機内で用いる直接剪断機構を導入し、予備実験を進めている。本発表では、予備実験の結果を報告し三軸試験機内の直接剪断機構についてまとめるとともに、日本海溝で浅部スロー地震の発生原因の一つとされる珪質堆積物についてslide-hold-slide実験を行った結果を報告する。