17:15 〜 18:45
[SSS07-P08] 脈動振幅の長期間時空間変動解析

キーワード:地震波ノイズ、脈動
固体地球は、断層運動以外によっても常に揺れており、高感度地震計には常に揺れが記録されている。このような地震波ノイズの発生源は、大気や海洋といった気象現象や人間活動によるものがある。地震波ノイズのうち海洋波浪に励起され、0.02-1.0 Hzに卓越する地震波は脈動と呼ばれる。
稠密地震観測網が全国に整備されてから20年以上が経ち、日本列島全体における長期間の連続地震波形記録が蓄積されてきた。しかし、日本で長期間にわたって地震波ノイズの挙動を調べた研究は少ない。そこで本研究では、高度地震観測網Hi-netの地震波記録を用いて日本全国の約13年間にわたる地震波ノイズの特徴を調べた。
本研究では、前田(2022)で処理されたデータを使用した。このデータは,Hi-net連続速度波形の3成分記録の機器応答を補正し、フィルターをかけたのち1分ごとのRMS値にし,さらにその22時から翌8時までの夜間の記録の中央値をとることで,1観測点1日あたり1サンプルの代表値を得たものである。元データに含まれる7つの周波数帯域のうち,本研究では0.04-0.1 Hz、0.10-0.25 Hz、0.25-1.0 Hzの4つについて解析した。
まず、観測された振幅値の長期間の周期性に着目し、その変動を年周および6ヶ月と4ヶ月周期の変動の重ね合わせとしてモデル化した。観測された振幅をこれらの周期の三角関数の重ね合わせとして表現し、逆問題としてそれらの振幅値と位相を推定し、その空間分布の特徴について検討した。ただし、観測点によって、どのような周期の変動が卓越するかは異なっていることが期待される。そこで、周期変動なしの一定振幅と複数の周期変動を組み合わせたモデルの候補に対し、AIC(Akaike Information Criteria)を用いて観測された振幅値に対する最適なモデルを推定した。
結果、1.0 Hz以下の低周波帯においては、ほぼ全国すべての観測点で年周変動が卓越した。その振幅値には明瞭な地域性があり、日本海側で大きいことがわかった。また、位相は空間連続的に変化している特徴があったが,周期数によってその空間分布が異なる。一方、6ヶ月と4ヶ月周期の変動も無視できず、AICの判定の結果、ほぼ全国でそれらすべての変動を重ね合わせたモデルが最適であることがわかった。6ヶ月および4ヶ月周期の振幅値は、海岸側で大きかった。位相は、AICで年周変動のみのモデルが最適であると推定された内陸の観測点を境に挙動が大きく変化しており、日本海側と太平洋側のそれぞれから内陸にかけて連続的に変化していることがわかった。
0.1-0.25 Hzでは年周変動の振幅値が大きい地域と脈動源の強い位置が一致していた。しかし、0.25-1.0 Hzでは脈動源の強さと振幅値との一致が見られなかった。地震波ノイズは脈動源が作り出しており、加えて波高や風の影響を受けていると推測される。6ヶ月周期と4ヶ月周期では海側から伝播した地震波ノイズが内陸で干渉したと考えられる。これにより、AICの判定においては年周変動のみのモデルが選択された観測点が生まれたと推測される。
稠密地震観測網が全国に整備されてから20年以上が経ち、日本列島全体における長期間の連続地震波形記録が蓄積されてきた。しかし、日本で長期間にわたって地震波ノイズの挙動を調べた研究は少ない。そこで本研究では、高度地震観測網Hi-netの地震波記録を用いて日本全国の約13年間にわたる地震波ノイズの特徴を調べた。
本研究では、前田(2022)で処理されたデータを使用した。このデータは,Hi-net連続速度波形の3成分記録の機器応答を補正し、フィルターをかけたのち1分ごとのRMS値にし,さらにその22時から翌8時までの夜間の記録の中央値をとることで,1観測点1日あたり1サンプルの代表値を得たものである。元データに含まれる7つの周波数帯域のうち,本研究では0.04-0.1 Hz、0.10-0.25 Hz、0.25-1.0 Hzの4つについて解析した。
まず、観測された振幅値の長期間の周期性に着目し、その変動を年周および6ヶ月と4ヶ月周期の変動の重ね合わせとしてモデル化した。観測された振幅をこれらの周期の三角関数の重ね合わせとして表現し、逆問題としてそれらの振幅値と位相を推定し、その空間分布の特徴について検討した。ただし、観測点によって、どのような周期の変動が卓越するかは異なっていることが期待される。そこで、周期変動なしの一定振幅と複数の周期変動を組み合わせたモデルの候補に対し、AIC(Akaike Information Criteria)を用いて観測された振幅値に対する最適なモデルを推定した。
結果、1.0 Hz以下の低周波帯においては、ほぼ全国すべての観測点で年周変動が卓越した。その振幅値には明瞭な地域性があり、日本海側で大きいことがわかった。また、位相は空間連続的に変化している特徴があったが,周期数によってその空間分布が異なる。一方、6ヶ月と4ヶ月周期の変動も無視できず、AICの判定の結果、ほぼ全国でそれらすべての変動を重ね合わせたモデルが最適であることがわかった。6ヶ月および4ヶ月周期の振幅値は、海岸側で大きかった。位相は、AICで年周変動のみのモデルが最適であると推定された内陸の観測点を境に挙動が大きく変化しており、日本海側と太平洋側のそれぞれから内陸にかけて連続的に変化していることがわかった。
0.1-0.25 Hzでは年周変動の振幅値が大きい地域と脈動源の強い位置が一致していた。しかし、0.25-1.0 Hzでは脈動源の強さと振幅値との一致が見られなかった。地震波ノイズは脈動源が作り出しており、加えて波高や風の影響を受けていると推測される。6ヶ月周期と4ヶ月周期では海側から伝播した地震波ノイズが内陸で干渉したと考えられる。これにより、AICの判定においては年周変動のみのモデルが選択された観測点が生まれたと推測される。