17:15 〜 18:45
[SSS07-P15] 奥会津地熱地域における涵養注水試験に伴う地震波速度と減衰構造の変化
キーワード:微小地震、地熱開発、注水、トモグラフィ
奥会津地熱地域(福島県柳津町)では,JOGMECにより2015年度から,蒸気生産量安定化のために,地熱貯留層への涵養注水試験が行われている。これに伴い,微小地震モニタリングを用いた,地下の流動モニタリングを実施している。本研究では,連続的な注水が実施される前の2017-2018年の微小地震データ,および連続注水を開始した2022以降の微小地震データを用いて,地震波走時トモグラフィ,および減衰トモグラフィを実施した。地震波走時・減衰トモグラフィには,それぞれ,Double-Difference Tomography(Zhang and Thurber, 2003)手法とDouble-Difference seismic attenuation tomography(Guo and Thuber, 2021)手法を用いた。
その結果,注水井近傍において注水に伴って,地震波速度の増加,および減衰強度の低下が見られることが分かった。Guo and Thurber (2022)らの米国ガイザース地熱地域における考察を参考にすると,上記の結果は,通常は蒸気卓越状態である貯留層間隙内が,注水により水で飽和した可能性を示唆する。また,注水井よりやや離れた領域では,地震波速度の低下,および減衰強度の低下を示す領域があることが分かった。同考察に基づくと,これは,新たなき裂の生成や間隙圧の増加で地震波速度は減少する一方で,間隙が流体飽和の状態となったことを示唆する。
本報告では,上記ように,注水前後での地震波速度,および減衰強度の変化を把握することで,注水に伴う貯留層の挙動を把握することが可能であることを示す。更に,微小地震分布やVp/Vsなどの他の情報と合わせることで,流体経路や間隙水の相状態など,より詳細な貯留層挙動を把握し得ることも示す。
本研究は,JOGMEC「地熱貯留層評価・管理技術」研究の一環として実施された。また,地熱技術開発株式会社,奥会津地熱株式会社には,微小地震観測網の整備や各種データの取得・提供等に多大なご協力を頂いた。ここに記して感謝の意を表す。
その結果,注水井近傍において注水に伴って,地震波速度の増加,および減衰強度の低下が見られることが分かった。Guo and Thurber (2022)らの米国ガイザース地熱地域における考察を参考にすると,上記の結果は,通常は蒸気卓越状態である貯留層間隙内が,注水により水で飽和した可能性を示唆する。また,注水井よりやや離れた領域では,地震波速度の低下,および減衰強度の低下を示す領域があることが分かった。同考察に基づくと,これは,新たなき裂の生成や間隙圧の増加で地震波速度は減少する一方で,間隙が流体飽和の状態となったことを示唆する。
本報告では,上記ように,注水前後での地震波速度,および減衰強度の変化を把握することで,注水に伴う貯留層の挙動を把握することが可能であることを示す。更に,微小地震分布やVp/Vsなどの他の情報と合わせることで,流体経路や間隙水の相状態など,より詳細な貯留層挙動を把握し得ることも示す。
本研究は,JOGMEC「地熱貯留層評価・管理技術」研究の一環として実施された。また,地熱技術開発株式会社,奥会津地熱株式会社には,微小地震観測網の整備や各種データの取得・提供等に多大なご協力を頂いた。ここに記して感謝の意を表す。